清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト（Dynamic Safety Test）
Number79（SEASON.7）：ディーゼルエンジンを売りにするプジョーとボルボがファミリーカー激戦区のCセグで真っ向勝負！
プジョー･308GTブルーHDi vs ボルボ･V40 D4 インスクリプション／Test03：ダブルレーンチェンジ
テストの「方法」と「狙い」：80km／hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC（横滑り防止装置）など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。
プジョー 308GT Blue HDi VS ボルボ V40 D4 インスクリプション（ダブルレーンチェンジ編）
プジョー 308GT Blue HDi VS ボルボ V40 D4 インスクリプション（ハイスピードライディング編）
ボルボの課題はESCのチューニングだ
VOLVO V40 D4 INSCRIPTION
●操縦安定性：★★★
●平均通過速度：75.89km/h（2回平均）
ボルボの強みは安全性にあることは間違いないが、ゴルフやフォ―カス、プジョーを相手にするには、シャシー性能の向上が課題ではないだろうか。そう思いながらステアリングを切った。ロールを感じるものの、バネ上のボディの動きが大きく、左右の横Gが連続すると、明らかにダンピングが足りないと感じてしまう。通過速度は高いが、コントロールは難しい。気になったのはESCのチューニングだ。安全にこだわるなら、もっとESCの制御で速度を落とすべきかもしれない。今後登場する新規プラットフォームでは、ダイナミクスと乗り心地のバランスを改善してもらいたい。
308のスポーツモードの演出は少々やり過ぎかも
PEUGEOT 308GT BLUE HDi
●操縦安定性：★★★★
●平均通過速度：70.05km/h（2回平均）
1回目はノーマルモードでテストした。初期ロールが感じられるし、そのロールを伴いながら隣のレーンに移動する。だが、知らないうちにESCが介入して車速を落としてくれる。結果的に元のレーンに戻りやすくなる。平均通過速度を見ても分かる通り、V40よりも遅いのはESCの制御で速度を落としているから。2回目はスポーツモードでテスト。今度はエンジン音が大きくなり、かなりスポーティな印象。ESCの制御のしきい値が変わるので通過速度は高くなるが、元のレーンに戻りにくくなった。スポーツモードの演出は少々やり過ぎかもしれない。
リポート：清水和夫／K.Shimizu フォト：篠原晃一／K.Shinohara ル・ボラン 2017年4月号より転載
