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ボルボが新たな安全対策の数々を打ち出す

速度制限を行えるケア・キーの開発に加え、飲酒や薬物使用を車両が判定・対処するシステムも研究

2020年までに市販車の最高速度を180km/hに制限するという思い切った施策を発表したボルボ・カーズが、さらに踏み込んだアイテムを導入する。2021年モデル以降のボルボ車に標準装備される「ケア・キー」は、自分のクルマの最高速度を任意に設定できる機能を持ち、家族や友人にクルマを貸したりする場合、速度の出し過ぎを抑制する効果があるとしている。

ボルボが自動車本体の安全性向上に努めてきたことはよく知られているが、加えて「交通の安全性を向上させる責任が自動車メーカーにはある」と述べ、速度制限に取り組む姿勢を強めている。ケア・キーもそのコンセプトに基づくもので、運転経験の浅い若者などのスピードの出し過ぎを抑制することで交通事故を削減できるとしている。
かつて日本にあった上限280psの自主規制や、今も残る180km/hのリミッターなども「高性能で速いクルマは事故を起こしやすい」という考えによるものだったが、ここにきてボルボも同じ方向性を見せている。ただ、欧州は日本より平均走行速度が速く、日本の交通状況とは比べられないだけに、この速度制限が効果をもたらす可能性も高い。
もうひとつ、ボルボは運転中のドライバーを監視するシステムを進化させる姿勢も明らかにした。飲酒や薬物摂取により運転が乱れる状況を車内カメラや運転操作の変化などで検知し、危険と判断したら運転に介入する(速度抑制や自動停止など)制御の導入を考えている。ボルボによると米国では死亡事故の30%が飲酒や薬物摂取によるもので、ボルボ車での交通事故死者・重傷者をゼロにするという目標の実現には、この飲酒や薬物による事故の防止も欠かせない。
運転者の表情をカメラなどで読み取り、居眠り運転などを判断して警報で知らせるシステムはすでに実用化されており、こうした機能を持つドライブレコーダーも市販されている。だが運転まで介入するとなると、法規などクリアすべきハードルも増えてくる。そこにあえて踏み込もうとするボルボの姿勢は評価できるし、自動運転の実用化にもこうした要素は欠かせなくなるはず。今後、具体的な制御方法や実用化の方向性が示されるか見守っていきたい。

田畑修

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