ボルボ

狐につままれた!? スポーティなボルボ V90に対しあくまで安全志向のメルセデス・ベンツEクラス【清水和夫のDST】#84-4/4

清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number84(SEASON.8):Eクラスと互角以上の勝負を披露したV90がメルセデスの優位を脅かす!?

メルセデス・ベンツ E220d ステーションワゴン vs ボルボ V90 T6 AWD インスクリプション/Test03:ダブルレーンチェンジ

●テストの「方法」と「狙い」:80km/hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC(横滑り防止装置)など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。

メルセデス・ベンツ E220d ステーションワゴン VS ボルボ V90 T6 AWD インスクリプション(ハイスピードライディング&ダブルレーンチェンジ編)

スポーティなセッティングのV90

VOLVO V90 T6 AWD INSCRIPTION
●操縦安定性:★★★★☆
●平均通過速度:70.38km/h(2回平均)

まさに狐につままれている感じだった。大きなステーションワゴンのため、俊敏性についてはほぼ期待していなかったが、予想以上に舵の効きがシャープで、最初のレーンチェンジはレスポンスもよく、スムーズな走行ができた。ボディロールが少なくフラットライドな乗り味が印象的だ。AWDは横置きエンジンのFFベースで重量配分はフロントが53.6%(実測値)。フロントはかなり軽く作られており、このパッケージは動的な性能面でも優位に作用しているわけだ。それが功を奏してか、元のレーンに戻る時の挙動は常に安定しており、アンダーステアも、オーバーステアも発生しなかった。

あくまでセーフティ志向のEクラス

MERCEDES-BENZ E220d STATIONWAGON
●操縦安定性:★★★★★
●平均通過速度:67.81km/h(2回平均)

急ハンドルを切ってレーンチェンジするとESP(ESC)が作動し、同時に電動プリテンショナーベルトとプレセーフ・サウンドが反応した。シートベルトの拘束力が高まるだけでなく、壊れたラジオのような大きなノイズ音で鼓膜に緊張感を与えることで、エアバッグの圧力から聴覚保護を行なうのだ。ESPのプログラム自体は例え、走行時の挙動が安定していたとしてもグッとスピードを低下させるチューニングが施されていて、それがメルセデス流。つまり徹底した安全思想が根底にある。従って元のレーンに戻るときは速度が下がっているので、余裕を持って次の操作に移れる。

 

リポート:清水和夫 フォト:篠原晃一 ル・ボラン 2017年10月号より転載

注目の記事
注目の記事

RANKING