虹色に輝くワンオフモデル
ブガッティは2026年4月30日、「W16ミストラル」をベースに同社のビスポークプログラム「シュール・ムジュール」によって仕立てられた最新作「フライ・バグ」を公開した。
【画像18枚】「W16ミストラル フライ・バグ」の息を呑む美しさを細部まで堪能する
自然界の美をテーマにしたコレクションの第4弾
この車両は、ブガッティの専任デザインチームと、ブランドに深い愛着を持つコレクター某氏との緊密なコラボレーションによって誕生した特注モデルであり、「自然界の美しさ」をテーマに結ばれた4台のコレクションを形成する1台でもある。
この4台とはすなわち、これまで同オーナーに向けて製作された、ヴェイロン・グランスポーツ・ヴィテス「ヘルバグ」、シロン「ヘルビー」、ディーヴォ「レディ・バグ」の3台、そしてそこに続くこのフライ・バグ、という訳である。いずれの車両も、我々を取り巻く動物界、特に、複雑で精巧な小さき生物たちから、そのキャラクターのインスピレーションを得ている。
フライ・バグのモチーフとなったのは「ドラゴンフライ(トンボ)」である。虹色に輝く羽と軽快なスピード、そして時代を超越して優雅な姿を見せるトンボが、ブガッティの真髄を最も体現している存在として選ばれたのだ。
デザインの進化と専用カラー「ドラゴンフライ・ブルー」
このプロジェクトの着想は、コレクションのオーナーと、ブガッティのデザイン責任者フランク・ハイル氏との、個人的な対話によって生まれたものだという。ベルリンのデザインスタジオ所属のカラー・マテリアル・フィニッシュ(CMF)チーム(グラフィックデザイナーや素材スペシャリスト、モデラーなど)がそれを引き継ぎ、オーナーのビジョンを具体的なデザインへと昇華させたのだ。
外観には、オーナーの好みである「車ごとに自然に進化するシグネチャーモチーフ」が採用されている。約1,600のひし形を精密に配置したディーヴォ「レディ・バグ」や、よりグラフィックなシロン「ヘルビー」といったこれまでの作品の系譜を受け継ぐものとして、今回のフライ・バグでは、車体後方やエアインテークの暗がりへと向かうにつれて密度を増す「楕円形のパターン」がエクステリア全体に展開された。
ボディカラーには、専用開発された特注ペイント「ドラゴンフライ・ブルー」が施されている。これは光の当たり方や見る角度によって青からターコイズへと色調が変化するカラーであり、それによって空を舞うトンボの羽のきらめきを表現したものだ。素材や塗装工程の異なるホイールリムにも、ボディと極限まで一致するよう同色が採用されている。
初の試みが詰まったインテリアとディテール
室内空間にも特別な仕立てが施されている。インテリアには、「ドラゴンフライ・ブルー」に合わせた幾何学模様のレザーをアルカンターラに重ね合わせ、特殊な仕上げで立体感を持たせた、専用の多層素材が開発された。
ドアパネルにはエクステリアと同様の楕円形パターンがあしらわれているが、パネル表面からアームレストの領域にまでグラフィックパターンを連続して適用したのはブガッティ史上初の試みである。曲面に完璧にフィットさせるため、エンジニアリングチームとの緻密な連携が不可欠であったという。
さらに、オーナーからの要望によって、車体側面の楕円形グラフィックの中にブガッティの象徴である「マカロン(楕円形のエンブレム)」が初めて組み込まれた。エンブレム周囲の細かなドットや文字まで忠実に再現するため、スケールや位置調整に細心の注意が払われている。
また、ギアセレクター内部には、ブランドの歴史的遺産であり、オーナーの自然への敬意を表現したものでもある、「ダンシング・エレファント(レンブラント・ブガッティの動物彫刻)」が配置されている。
シュール・ムジュールへの信念と信頼
最終的なデザイン承認から完成まで数ヶ月を要したこのプロジェクトについて、ブガッティ・カスタマイズチームの情熱と経験が遺憾なく発揮された結果であるとして、デザイン責任者のフランク・ハイル氏は次のようにコメントしている。
「W16ミストラル『フライ・バグ』により、私たちは単一のクリエイティブなビジョンでつながれた車のコレクションという、本当に稀有なものを完成させました。それぞれの特注品がデザインチームをさらに前進させてきましたが、今回も例外ではありません。ゼロから開発された特注カラー、当社の歴史上初めてペイントされたグラフィックに統合されたマカロン、そして私たちがこれまで試みたことのないインテリア素材の適用などです」
「私たちはチームがここで達成したことを非常に誇りに思っています。しかし、これらすべてのプロジェクトを通じてお客様が当社に寄せてくださった信頼がなければ、どれも不可能だったでしょう。当社のハイパーカーに対するお客様の情熱と、ブガッティ・シュール・ムジュールができることへの信念こそが、このような仕事を真に価値あるものにしてくれているのです」
【ル・ボラン編集部より】
1001psのヴェイロンから始まったW16の最終章に、ブガッティは「トンボ」という儚くも優雅なモチーフを選んだ。1600psの獰猛なハイパーカーとは対極にあるテーマだが、ここにこそ彼らの真髄がある。この「フライ・バグ」は、絶対的な速度と芸術的審美眼の融合を見事に成し遂げている。オーナーの哲学を技術と情熱で昇華させるその姿勢は、単なるビスポークの枠を超え、現代のオートクチュールとして自動車史に深く刻まれるべき作品である。
【画像18枚】「W16ミストラル フライ・バグ」の息を呑む美しさを細部まで堪能する





















