
最新4WDの素直なハンドリングは、まるでFRスポーツセダンのようだ
昨年からニューモデルラッシュが続くBMWから、プレミアムSUVのベンチマークといえる人気モデルがフルモデルチェンジを経ていよいよ日本上陸を果たした。迫力たっぷりのマスクに定評あるクリーンディーゼル、最新テクノロジーの数々が生むその実力と魅力に迫る。
初代の誕生から20年間同カテゴリーをリード
本年2月末に日本導入が発表されたニューBMW X5。デザインとテクノロジーの両面で大幅な進化を遂げたというこの新型SUVモデルに、桜が見頃となった4月上旬の箱根周辺で試乗することができた。
X5といえば、現在の世界的なクロスオーバー/SUVブームの火付け役である。1999年、BMWが「SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル=BMWにおけるSUV)」の名とともに投入した初代モデルは、オフロードも走破できるフルタイム4WDでありながら、BMWならではのスポーティな走りを兼ね備え、しかも高級感に溢れた内外装の仕立てで、世界の自動車業界に大きなインパクトを与えたのだ。

最高出力265ps(195kW)/4000rpm、最大トルク620Nm/2000-2500rpmを発揮する3L直6ディーゼルターボは、アクセルペダルを軽く踏み込めば、圧倒的なトルクで2トン強のボディを軽々と加速させる。回転フィールはとてもスムーズで、静粛性も高い。
あれから20年間、世界のSUVのベンチマークであり続け、コンパクトクラスからクーペスタイルまで、多くのフォロワーを生んできたX5が、どれだけ進化したのか、世界中の自動車メーカーが注目していると思われる。
社内開発コード「G05」が与えられた新しいX5は、全長4935×全幅2005×全高1770mmで、先代と比較すると25mm長く、65mm幅広く、10mm背が高くなっている。ホイールベースも40mm延長され2975mmとなった。
先代モデルから、さらにひと回り大きくなったボディだが、軽量なCLAR(クラスター・アーキテクチャー)プラットフォームを採用し、車体前方の骨格に高張力鋼板をより多く用いることで、強度を高めながら、従来比約15.5kgの軽量化を果たしている。
ひと回りサイズアップしたことで、存在感がさらに増しているエクステリアは、これまでのX5の特徴を受け継ぎながら、スッキリとした面構成と精緻なラインで力強さとエレガンスを表現。六角形の輪郭が光るLEDデイタイム・ランニングライトを備えたLEDヘッドライトや、サイドに回り込んだ形状のLEDリアコンビランプ、そしてセンター部が繋がった一体型フレームを持つ大型のキドニーグリルが力強さや先進性を強調し、とても現代的な印象を与えている。
今回は、現時点で日本に導入されているxDrive35dの上級グレードとなるMスポーツに試乗したのだが、専用のMエアロダイナミクス・パッケージやハイグロスシャドーライン・エクステリアを装着したエクステリアは迫力満点。ミネラルホワイトメタリックのボディカラーと相まって、圧倒的な存在感を放っていた。
インテリアは、プレミアムSUVに相応しい上質な仕上がりだ。今回の試乗車はBMWインディビデュアルのレザーフィニッシュ・ダッシュボードやコーヒーブラウン/ブラックのエクステンド・レザーメリノ、ストライプブラウンファインウッド・インテリアトリムなどがおごられていたが、その高級感はフラッグシップの7シリーズにも引けを取らないレベルといえる。さらに、セレクター・レバーやスタート/ストップ・ボタン、iDriveコントローラー、音量調整ボタンには、オプションで用意されるクリスタル製のパーツがあしらわれ、とてもラグジャリーな雰囲気を醸し出していた。ちなみに公式アナウンスはされていないが、このクリスタルはスワロフスキー製だそうだ。
狙ったラインは外さない優れたトラクション性能
ドライバー正面には、12.3インチのフルデジタル・メーターパネルを装備。ダッシュボード中央にも同じく12.3インチの大型コントロール・ディスプレイが備わる。インフォテインメント・システムには最新世代のBMWオペレーティング・システム7.0を採用して、必要な情報を適切なタイミングでドライバーに伝えてくれるほか、表示メニューは任意でカスタマイズも可能だ。音声コントロールやジェスチャーコントロールにも対応する、この最新世代BMWライブコクピットも、ニューX5の先進的な印象を強調している。もちろん使い勝手にも優れている。
ドライバーズシートは、たっぷりしたサイズながらサポート性に優れている。ポジションは高めだが、ステアリングのチルト&テレスコピック機能は可動範囲が大きく、適切なドライビングポジションを取ることができる。ボンネットの見切りが良いので、車両感覚も掴みやすい。
走り出して最初に感じたのは、とにかくスムーズであることだ。試乗車はオプションの21インチMライト・アロイホイール装着車だったのだが、フロントのダブルウィッシュボーン、リアのインテグラルアーム式5リンクのサスペンションは、荒れた路面でも見事に入力をいなし、バタつくことなく抜群のトラクションを発揮。コーナーに向かってステアリングを切り込めば、狙った通りの走行ラインを正確にトレースすることができる。最新世代のインテリジェントなxDriveのおかげで、まるでFRスポーツセダンのような素直なハンドリングが楽しめるのである。
265psと620Nmを発揮する3L直6ディーゼルターボは、右脚を少し踏み込むだけでモリモリと大トルクを発生させ、約2.2トンの車重をまったく感じさせない軽快な加速を披露。8速スポーツATとのマッチングも見事で、常に適切なギアを瞬時に選択し、変速も俊敏でスムーズだ。
BMWブランドに相応しいダイナミックでスポーティな走りと、ラグジュアリーで上質な仕立てを兼ね備えたニューX5は、これまでと変わらず、世界のSUVカテゴリーのベンチマークとして君臨することになりそうだ。
写真のシートはBMWインディビデュアルのメリノレザー。
【Specification】ビー・エム・ダブリューX5 xDrive35d Mスポーツ
■全長×全幅×全高=4935×2005×1770mm
■ホイールベース=2975mm
■トレッド=前1685、後1695
■車両重量=2190kg
■エンジン型式/種類=B57A30A/直6DOHC24V+ターボ
■内径×行程=89.0×88.3mm
■総排気量=2992cc
■圧縮比=10.5
■最高出力=265ps(195kW)/4000rpm
■最大トルク=620Nm(63.2kg-m)/2000-2500rpm
■燃料タンク容量=80L(ディーゼル)
■燃費=(JC08)14.4km/L、(WLTC)11.7km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■変速比=1速5.500、2速3.520、3速2.200、4速1.720、5速1.317、6速1.000、7速0.823、8速0.640、R3.993、F2.929
■サスペンション形式=前Wウィッシュボーン/コイル、後インテグラルアーム/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前275/45R20(9J)、後305/40R20(10.5J)
■車両本体価格(税込)=9,990,000円
【問い合わせ】
BMWジャパン 0120-269-437