清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト（Dynamic Safety Test）
Number87（SEASON.9）：欧州車レベルに到達した日本代表をプジョーの個性派SUVが迎え撃つ

プジョー・3008 GT Blue HDI vs マツダ・CX-5 XD Lパッケージ 2WD／Test03：ダブルレーンチェンジ

●テストの「方法」と「狙い」：80km／hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC（横滑り防止装置）など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。

マツダ CX-5 XD L パッケージ 2WD VS プジョー3008 GT BlueHDi（ダブルレーンチェンジ編）

マツダ CX-5 XD L パッケージ 2WD VS プジョー3008 GT BlueHDi（ハイスピードライディング編）

走りへのこだわりを感じさせるCX-5

MAZDA CX-5 XD L PACKAGE 2WD

●操縦安定性：★★★★☆
●平均通過速度：70.88km／h（2回平均）

ドライ性能の高いトーヨータイヤを履くため、ダブルレーンチェンジでのCX-5はスポーティな動きを見せた。クイックな操舵をしてもDSC（ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム）は3008ほど制動介入してこず、つまり高い基本性能を活かして、電子制御ありきのハンドリング特性にしていないのだ。加えて3008より10％高いスピードでコースインしてもアンダーステアは発生せず、難なく元のレーンに戻れるし、平均通過速度（走行2回）は70km／hオーバーとサルーン並みだった。安定性重視の3008に対して、欧州車以上にスポーティなCX-5。走りへの強いこだわりを感じた。

安定性重視で巧みに制御する3008

PEUGEOT 3008GT Blue HDI

●操縦安定性：★★★★☆
●平均通過速度：66.63km／h（2回平均）

足まわり、なかでもダンパーチューンに定評があるプジョーだけに、ダブルレーンチェンジではどのような挙動を見せてくれるのか。秘かに期待しながら、急なステア操作から隣のレーンに移動する。すぐにESC（エレクトロニック・スタビリティ・コントロール）が作動し、ブレーキ制御が入って進入の初期段階で速度を落とし、安全を最優先するセッティングだ。ウェット旋回では残念なテスト結果だったが、ドライのダブルレーンチェンジは得意種目のようで、かなりの名人がチューンしたような味付け。電子制御は早めに介入するものの、そのタイミングと制御感はドライバーの感覚とピタリとあっている。