海外試乗

【海外試乗】「BMW 7シリーズ」トップ・オブ・バイエルンがフェイスリフト!

威風堂々のハイテクサルーン

7シリーズの6世代目にあたるG11系が発表されたのは2015年の秋のこと。それほど昔のことに思えないのは、その後に登場した5シリーズと、ビジュアル的に近似していたことも影響しているのかもしれない。実際、BMWはその区別を明確にすることを今回のLCIの課題にしたというが……。

大型グリルに加えてノーズ端の高さが50mm高くなったことで、横方向からのシルエットもセダンらしさがより強調されるカタチに。

言わずもがな、後期モデルの7シリーズで最も大胆な変貌を遂げたのはデザインだ。賛否を呼ぶ大きなグリルは面積にして40%増と、そのサイズが生真面目に数値化されている。併せて鼻回りの高さも50mmほど嵩上げされエンブレムも大型化、そしてアンダーグリルやサイド&リアにもクロームが巡らされるなど、コスメティックも一段と華美になった。もちろんこれは新興市場に向けて激化する周囲のアピアランス競争に埋もれぬための対策だが、現物をみるに、個人的には顔回りの造形も写真でみるほどの違和感はないと思った。ちなみに内装も最新の意匠が用いられただけでなくルーフ回りに及ぶアンビエントライトなど演出面の強化、そしてインフォテインメントなどデジタルデバイスのハード&ソフト両面でのアップデートも施されている。

8シリーズと同等のチューニングを受けた750iのV8ユニット。

新しい7シリーズに搭載されるパワーユニットはガソリン2種、ガソリンハイブリッド1種、ディーゼル3種の計6種類。うち先代でも日本導入されていた740eは、搭載エンジンがストレート6にスイッチ、組み合わせられるモーターやバッテリーも強化されたプラグインハイブリッドとして、745eの名前が与えられている。
そのエンジン出力は286ps、そしてモーター出力は113psとなり、12kWhのサムスンSDI製リチウムイオンバッテリーを介して最大58kmのモーター走行が可能となる一方、ドライブモードをスポーツにすれば394psというシステム出力をもって0→100km/hで5.2秒の加速性能を発揮することも可能だ。
また、750iもエンジンが最新世代の4.4L V8へと刷新され、530ps/750Nmを発揮。これは前型の750iに対して80ps/100Nmと大幅な向上となっている。0→100km/h加速は4秒フラット。スポーツセダンでも一線級の数値だが、7シリーズはこの上に12気筒のM760iが控えるわけで、BMWの頂点に相応しいパフォーマンスが揃ったといえるだろう。

PHEVの745eはパワーユニットそのものが完全刷新されている。

フルサイズとは思えぬ軽快な身のこなし!

750Liの0→100km/h加速は4秒フラットと、スポーツカーも顔色を失うほどの動力性能を発揮。フットワークも軽快そのものだ。

試乗に供されたその750iのロングボディは、6500rpm付近のトップエンドまでしっかりパワーを乗せてくる元気の良さもさることながら、低回転域から淀みなく湧き上がるトルクをもってきびきびかつ滑らかにレスポンスしてくれるパワートレインのフィーリングが印象的だった。持ち前の軽さも相まって、思うがままに速度を乗せていく感覚はフルサイズサルーンのそれとは思えない。当然それは運動性能にも好影響を及ぼしている。走る曲がる止まるの総合性能でいえば出色ともいえるM760iにも比肩する出来栄えといえるだろう。

内装も3シリーズや8シリーズと同様の方向性に沿って刷新。メーター回りやインフォテインメントもアップデートされている。

そして注目の745eだが、走り始めると先代に対して全域でモーター走行時の力感がひと回りは高まっていることがはっきりと伝わってくる。最大140km/hまでの加速や100km/hでの巡航も可能と、このパワーがあれば日本においては日常域をほぼモーターだけで賄うことも現実的だ。エンジンが始動してのハイブリッドモードにおいては直6ユニットの滑らかな回転フィールとの相性も良く、加速時や高速巡航時などで先代とはひと味違った上質感も味わわせてくれる。また、ACCやレーンキープアシストなど、ADAS系の制御がリニアリティを高めたことも、新型7シリーズの進化点として見逃せないところだ。

アコースティックガラスの採用や遮音材の追加など、音環境の改善が加えられた後席空間。天井にはアンビエント照明を採り入れている。

クローム系の加飾が増え、側方のホッケースティック・デコレーションも大きく採られるなど、アピアランスは明確に強化されている。リアコンビランプは昨今のBMWのトレンドを汲んで立体的な造形となり、最新のLEDテクノロジーによって灯火類も明細化されている。

【SPECIFICATION】BMW 750Li xドライブ[BMW 745e]
■全長×全幅×全高=5260×1902×1479[5120×1902×1467]mm
■ホイールベース=3210[3070]mm
■トレッド=前1621、後1650[前1611、後1640]mm
■車両重量=2000[1995]kg
■エンジン型式/種類=-/V8DOHC32V+ツインターボ[-/直6DOHC24V+ツインターボ+電気モーター]
■内径×行径=88.3×89.0[94.6×82.0]mm
■総排気量=4395[2998]mm
■圧縮比=10.5[11.0]
■最高出力=530ps(390kW)/5500-6000rpm[394ps(290kW)*システム統合]
■最大トルク=750Nm(76.5kg-m)/1800-4600rpm[600Nm(61.2kg-m)*システム統合]
■燃料タンク容量=78L(プレミアム)[46L(プレミアム)]
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前Wウィッシュボーン/エア、後5リンク/エア
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後245/45R19(8.5J)[前後245/50R18(8J)]

【問い合わせ】
BMWジャパン 0120-269-437

リポート:渡辺敏史/T.Watanabe フォト:BMWジャパン/BMW JAPAN ル・ボラン2019年6月号より転載
LE VOLANT web編集部

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