
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number86(SEASON.9):世界をリードするトヨタとVWのミディアムセダン両雄が対峙する
フォルクス ワーゲン・パサート GTEアドバンス vs トヨタ・カムリ G レザーパッケージ/Test01:加減速テスト
●加速テスト:静止状態からフル加速し、100km/hに到達するまでの時間から平均加速Gを算出。非力なクルマは0.15G程度、高性能車では0.6Gに達するクルマもある。エンジン、トランスミッション、トラクションのかかり方といった、パワートレイン全体の能力をみる。
●ブレーキテスト:100km/hからフルブレーキング、停止するまでの時間から平均減速Gを算出する。減速Gはどんなクルマでも0.8G-1.2G程度だが、加速Gに対応した減速Gを持っていることが重要。そうでないクルマは危険といえる。
フォルクスワーゲン パサート GTE アドバンス VS トヨタ カムリ G レザーパッケージ(加速編)
フォルクスワーゲン パサート GTE アドバンス VS トヨタ カムリ G レザーパッケージ(減速編)
肉食系スポーツカーのような加速感、重いのに止まる盤石の制動能力
TOYOTA CAMRY G LEATHER PACKAGE
加速:0.29G(★★★★☆)/ 減速:1.05G(★★★★☆)
急速燃焼という最新テクノロジーを採用した2.5L直4は、クリーンで高効率なユニットだ。ハイブリッドシステムと組み合わせ、発進こそ穏やかだが、パフォーマンスは高く、肉食系スポーツカーのように鋭い加速をみせる。ギア変速がないのでEVのようにスムーズに推進していくのも特徴的である。バイワイヤーのブレーキは自然な制動フィールで、効きは悪くないし、ペダルの踏力感がなにより頼もしい。唯一残念だったのは最大制動時。「ガツーン」というショックがサスペンション(駆動系)から発せられるのはいただけない。減速時の制動距離は37.4mだった。
VOLKSWAGEN PASSAT GTE ADVANCE
加速:0.23G(★★★★☆)/ 減速:1.08G(★★★★☆)
PHEVなのでモーターでスムーズに発進できると思ったが、スルスロットルではエンジンが主体となるようだ。そのためにDSGのクラッチ制御がややもたつく感じだった。実際に1速ギアは3800rpmあたりが限界点で、コンピュータ制御でクラッチを保護しているのか、それ以上は回らない。ただしマニュアルモードにすれば1速でも6000rpmまで許容するし、パドルシフトで2速→3速とシフトアップすると愉しく走れる。ブレーキはアナログブレーキなのでフィーリングは良く、利きも鋭く踏力を増すとリニアに反応する。安心感は申し分ない。減速時の制動距離は36.44m。