
カー・マガジン編集部員がこれは!と思った趣味グルマを紹介する”100万円でドロ沼に陥る!?” 今回は、フィアット版マツダ・ロードスターの登場で好きモノが思い出すとか、思い出さないとか言われるフィアット・バルケッタを取り上げます。
フィアット・バルケッタとは?
フィアット・バルケッタは、1995年にX1/9以来のオープンモデルとして登場。デザインは当時チェントロスティーレ・フィアットに在籍していたアンドレ・ザパティナスが手掛けている。プントの基本設計を受け継ぎFF方式を取る。ボディ色はレッドのほか、オレンジ、ブルーが用意されていた。
やっぱりオープンカーは気持ちいい!

<クローズドでもデザインは崩れず>オープン状態こそこのクルマの真価が存分に発揮されるシーンではあるが、幌を閉じた状態でも美しいデザインが損なわれることはない。幌のコンディションが良いこともこのクルマの美点。ちなみに開閉は手動式となる。
ただいま春真っただ中ってことで季節柄お勧めのオープンモデルを紹介したい。今回取り上げるのは、フィアット・バルケッタ。残念ながら国内未導入のフィアット124スパイダーの前任モデルだ。まあ、フィアットのオープン2シーターと言うだけで、現行はマツダ・ロードスターベースのため、繋がりはないに等しいが……。

<収納スペースを多数用意>限定モデルでレザーシートが用意されていたが、取材車はファブリックシートとなる。コンディションは非常によく、破れはもちろん擦れも見られない。センターコンソールなどの鍵付き収納スペースの他、シート後方にも小物入れ(オプション)が備わる。
国内へ正規輸入されたため見かける機会は意外に多く、オレンジ色のバルケッタが脳裏に焼き付いている読者は多いことだろう。フィアット アンド アルファ ロメオ モータース ジャパンが輸入を手掛け、オレンジのほか、ここで取り上げるレッド、そしてブルーという3色で展開されていた。デビュー当時こそ注目を集めたが徐々に人気は翳り……。その二の足を踏まない!、と最新モデルはバルケッタではなく124スパイダーのネーミングを採用した、というのは個人的な妄想だ。閑話休題。

<”謳う系”ではありませんが実用的>フロントに搭載されるエンジンは、1.8リッターの『スーパーFIRE系』で、最高出力は131psを発揮する。トランスミッションは5速M/Tだ。回すほどに高揚感が得られる類のエンジンではないが、十分な動力性能と高い信頼性は魅力。
新緑もめいっぱい堪能できる初夏のオープンは、心地良く、そして昂る
1996年製の個体で、いつの間にやら20年落ちとなったがそのスタイルは今見ても古さを感じさせないくらいに洗練されている。これは、ザパティナスが引いたラインもさることながら、コンディションの良さも一因だろう。ファーストからセカンド、そしてサードへとオーナーが変わるごとに、また年を経る毎にクルマのコンディションは悪化する傾向にあるが、特にフィアットは乗りっぱなしになっていることが多く、”当たり!”のオーナーに出会えなかった個体は見るも無残なド中古車となることも多い。そんなケースに当てはまらず、現車はシートや内装、そしてボディカラーも褪せずに良好に保たれている。それが幌やビニール製のリアウインドーにも当てはまるのは歓迎すべき点だ。また、オリジナルコンディションを維持している点も見逃せない。オドメーターが2万7000km+αというのも納得のコンディションだ。

<ボディ色を上手く取り入れ車内を明るくデザイン>ダッシュパネルなどは全モデル共通のブラックだが、覆われない箇所はボディと同色となる。ホワイトの盤面を採用する計器類はヴェリア製で、センターの特等席にレブカウンターが設置されている。総走行距離2万7000km少々を証明するように内装は美しく保たれている。
エンジン音こそ高回転で”謳う”様な盛り上がりはないが、動力性能は十分で最高速は200 km/hを誇る。車重は軽量級の1090kgに抑えられているため、波にたゆたう小舟のように、ひらりひらりとコーナーを駆け抜けるドライビングスタイルは実に気持ちがいい。初夏を迎えるこれからの時期が、オープンカーの気持ち良さを堪能できることは読者諸兄がご存知の通りだ。

<オープン、クローズラックラク>幌の開閉は、慣れれば数十秒で完了できるほど簡単。オープン時、幌はボディパネル内に収納される。ちなみにパネルの開閉は左ドア開口部のレバーで行う。荷室はFFのメリットを生かして広く取られているため実用性は高い。
1996 FIAT BARCHETTA
車両購入価格:1,200,000 円
季節柄度 ★★★★★
解放感 ★★★★
ドロ沼度 ★★★車両本体価格は120万円と相場よりは高めの設定だが、実走2万7000kmとあってコンディションは非常に良い。低走行の良好なバルケッタを探している方は一見の価値あり!
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