
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number89 SEASON.9:リアルスポーツとして光る存在感、対極に位置するR8スパイダーとZ06
シボレー・コルベットZ06 vs アウディR8スパイダー/Test02:ウェット旋回ブレーキテスト
●テストの「方法」と「狙い」:ドライ路面からウェット路面に100km/h(±2%)で進入、半径40Rのカーブをフルブレーキングしながら曲がる。路面はハイドロプレーニングよりもウェットグリップが問われる水深5mmに設定。ABSやタイヤを含めたクルマの総合的なブレーキ性能と、シャシーの旋回性能(ラインが外に膨らむクルマは危険)をみる。
シボレー コルベットZ06 VS アウディ R8 スパイダー(ウェット旋回ブレーキ)
タイヤコンデション
AUDI R8 SPYDER
浅溝タイヤではないが、前後ともタイヤ山は半分くらいしか残っていなかった(フロントが5分山、リアが6分山)。さらにフロントタイヤのショルダー部分に、アンダーステアを重ねた痕跡が……。
CHEVROLET CORVETTE Z06
ミシュランの浅溝タイヤを履くが、新品でも5mm前後の溝しかなく、ウェット路では辛そうだ。ドライ路ではそのグリップと剛性感はトップレベルで、ステアリングの手応えも素晴らしかった。
摩耗したタイヤの影響も大きいが両車とも今後へ課題が残る結果に
●制動距離:54.0m(★★☆☆☆)
装着タイヤが摩耗しており、ウェットの旋回ブレーキはR8スパイダーにとって辛い条件でのテストとなった。水深3mm前後の状況で、40Rに対してステアリングを操舵しながら同時にフルブレーキすると、タイヤは予想どおりハイドロプレーン現象を起こし、舵が効かない状態に……。踏力をかなり強めてブレーキングすると、減速Gは高まっていったが、リアがロック気味となり、軽くリアが流れる結果に。そうなると、ABSは減圧気味となり、Gフォースは低下していくわけだが、1回目、2回目ともに、同じ現象が発生。減ったタイヤは止むを得ないが、ABSの制御も見直す余地がありそうだ。
CHEVROLET CORVETTE Z06
●制動距離:57.5m(★★☆☆☆)
タイヤ溝はR8スパイダーのピレリP ZEROと同じレベルだったが、Z06が履くミシュラン・パイロットスーパースポーツの方がワイドトレッドのため、水の上に浮きやすい。だから進入時はかなり心配だったが、やはりハイドロプレーンが発生。減速Gは出ていたので、なんとか止まることはできたが、ステアリングの手応えがゼロになって、制御ができないからそうなると恐怖でしかない。停止距離はR8スパイダーよりも伸びてしまったが、スタビリティコントロールのおかげで、なんとかスピンを免れることはできた。ドライグリップは最高だが、雨の日はなるべく乗らないほうが懸命だろう。