コラム

【インタビュー】快進撃を続ける「アストンマーティン」、今後のブランド戦略を聞く――

DBXは女性にも関心を持ってもらえるクルマになる

──現在のラインアップでは、どのモデルが最も販売台数が多いんですか?

「ワールドワイドには、ヴァンテージですね。けれど、DBXの販売がスタートしたら、はじめの1年から2年は、おそらく最もボリュームの大きなモデルとなるでしょう。ラグジュアリーなSUVのカテゴリーは、非常に大きなマーケットでしょうからね」

──DBXについてうかがいます。ティーザーというか、公開されている開発中の映像も含めて楽しませていただいてますが、それによれば開発ドライバーをマット・ベッカーさんが務めてますよね。ということは、かなりスポーツができるSUVになるんじゃないかと思うんですが……?

「もちろんです。ハイエンドといえるようなSUVは、ラグジュアリー指向の強いモデルとスポーツをも重視しているモデルと、ふたつに分かれると思います。ランボルギーニやマセラティ、ポルシェなどはスポーツ指向が強いですよね。ロールス・ロイスやベントレー、それからレンジローバーなどは、ラグジュアリー指向が強いです。アストンマーティンが作るSUVは、そのふたつをしっかりと統合させています。SUVの姿をしている、ラグジュアリーなスポーツカーだと思っていただいていいと思います。ご存じの通りアストンマーティンは、スポーツ・フィーリングをドライバーに感じてもらうためにクルマを入念にチューニングしていくのが常ですから」

──車体の大きさはどれくらいなんですか?

現時点でははっきりとお伝えすることはできないのですが、大柄です。アメリカやイタリア、それに日本でもそうなのですが、このクラスにおいてはある程度以上のサイズが必要になるということが、お客様や販売ディーラーからのフィードバックで明らかだったのです。そこで私達は、スペースというものを犠牲にしない毎日の生活の中で使えるスポーツカー、あるいはものすごくファンなラグジュアリーカーが必要だと考えたのです」

──DBXは、スプロールさん御自身も欲しくなるようなクルマですか?

「もちろんです。でも私より妻が楽しみにしてるかも知れません(笑)。それはともかく、女性の方々にも関心を持っていただけるクルマになりますよ」

──もしラピードに次期型があるのだとしたら、それと顧客層がオーバーラップしそうですね。

「ラピードは少し横にずれて、DBXがそこをカバーすると考えてください」

──単刀直入に聞きますが、DBXのパワーユニットは何ですか?

「最終的な確定項としてお伝えするのではないのですが、おそらくV8エンジンになると思います」

──もちろんAWDだとは思ってますが、そのシステムは自社開発ですか?

「メルセデスのシステムを利用します」

──先日、アンディ・パーマーCEOが「巨額を投じて同じような技術を開発するのはナンセンスだ」とおっしゃっていたのを、外誌の記事で読みました。

「そのとおりです。ヴァンテージやDB11に積んでいるメルセデスAMGのV8エンジンもそうなのですが、サウンドやフィーリングなどはちゃんとアストンマーティン流に仕立てなおしています。そのままポンと流用するようなことはせず、優れたテクノロジーや優れたユニット、システムなどを、自社のクルマに、そして目指すものに相応しくなるようしっかりチューニングして搭載します。今回も同じで、DBXもはっきりとアストンマーティンですよ」

──確かにヴァンテージもDB11も、AMGのクルマとは異なるフィーリングやサウンドを持ってますものね。それどころか、ヴァンテージとDB11でも違ってる。

「そうするために、実は開発陣は本当にいろいろなことをやってるんですよ」

──DBXの正式な発表はいつのタイミングですか?

「今年の年末に、ちょっと特別なイベントを企画していて、それを通じて皆さんに御覧いただけるようになると思います。販売開始は2020年から。1年後ぐらいにはショールームで御覧いただけるでしょう」

嶋田智之

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