コラム

【インタビュー】快進撃を続ける「アストンマーティン」、今後のブランド戦略を聞く――

ラゴンダは純粋なラグジュアリーカーとして新しいスタートを切る

──DBXもさることながら、3月のジュネーヴ・ショーでは、おそらくファンの誰もが想像していたよりも、たくさんのモデルを発表しましたね。

「ブースには、アストンマーティン・レッドブル・レーシングのF1マシン、ヴァルキリーAMR、ヴァルキリー、AM-RB003、ヴァンキッシュ・ヴィジョン・コンセプトの順番で並べました。それは生産台数の順番で、2台(笑)、25台、150台、500台、そしてプロダクション・シリーズという流れなんです。そして重要なのは、それらのモデルが全て同じDNAで作られているということでなんですよ」

──ちなみにAM-RB003の限定500台って、もう売り切れてたりします?

「購入の意思を示されてる方が500人以上いらっしゃるのは確かですね。ジュネーヴ・ショーの反響は、ものすごく大きなものでした」

──おそらくファンの皆さんが最も強いのはヴァンキッシュだと思うのですが、計画としてはこれからどういうステップを踏んでいくんですか?

「現時点ではコンセプトを皆さんにお披露目した段階。私達はフェラーリやランボルギーニの市場に新人として参入していくことになるわけですが、まずはそこにいらっしゃるお客様たちから信頼を得ないといけないですよね。私達が素晴らしいミド・エンジンのスポーツカーを作れるということを、実証しなければいけない。ヴァルキリーやAM-RB003を順番に送り出すことで、お客様に信頼していただけることになると思います」

──開発はどれくらい進んでいるんですか?

「完成までには80%のところまで来ている、といったところでしょうか」

──ということは、生産型ヴァンキッシュのお披露目が来年のジュネーブ・ショー辺り、という感じでしょうか?

「さあ、どうでしょう(笑)。いずれにしても、生産開始までにはまだ1〜2年の時間がある、ということだけお伝えしておきましょう」

──すでに知られているところですが、155台の限定ですが、ラピードE。それにヴァンテージのAMR。まだまだたくさん計画がありそうですね。

──DBSのヴォランテも忘れないでください。この夏に発表しますよ(笑)」

──ラゴンダについてはいかがでしょう?

「私達もものすごくエキサイティングな気持ちでいます。まだちょっとだけマーケットの中で注意深く見ていかなければならない状況もあるのですが、いずれにしても、ラゴンダは純粋なラグジュアリーカーとして新しいスタートを切ることになります」

「去年のジュネーヴ・ショーでコンセプトをお披露目されました。今年のジュネーヴ・ショーでは、もう少し具体的なコンセプトをお披露目されました。反響はいかがですか?

「昨年春のジュネーヴと夏のペブルビーチでラゴンダの最初のコンセプトをお披露目したのは、私達にとってはある種のテストでもありました。お客様達の反応を知りたかったのです。ラゴンダというのは110年を越える歴史を持つブランドではありますが、ご存知ない方がたくさんいらっしゃいました。そうした方々に向けて、私たちはテクノロジー、それに未来に向けた存在感とスペースの利用の仕方などをプレゼンテーションしたかたちです。車体はロールス・ロイスのゴーストより全長が僅かに短いぐらいなのですが、車内はファントムのストレッチより遙かに広いのです。ご覧になった方たちは、かなりお気に召していたようでした。とりわけロールス・ロイスを購入できるようなお客様、現在はテスラに乗っていらっしゃるようなお客様からの反響が、ものすごく大きかったです。所有したいのはロールス・ロイス、けれど運転したいのはテスラ。なぜなら、イメージにあったテクノロジーを持っているからです。私達のラゴンダは、その両方を持ち合わせたクルマになります」

──最後に、日本のアストンマーティンのファンの皆さんに、何かメッセージをお願いします。

「数年前に軽井沢でテストドライブのイベントがあって、私も同行しました。とても心地のいい体験でした。なぜなら日本の客様は、クラフトマンシップというのがどういうものなのか、よく理解なさってるからです。それに本当のOMOTENASHIというものについても。そしてアストンマーティンというブランドに敬意を払ってくださっています。私達はそうした方々を裏切ることのないクルマ作りをしていきますので、私達と一緒にエキサイティングな気持ちになっていただきたいと思います。楽しみにしていてください」

嶋田智之

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