
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number91(SEASON.10):Sクラスや7シリーズと比肩する!? ジャパンプレミアムサルーンの実力
ホンダ・レジェンド・ハイブリッドEX vs レクサスLS500h Fスポーツ/Test02:ウェット旋回ブレーキテスト
テストの「方法」と「狙い」:ドライ路面からウェット路面に100km/h(±2%)で進入、半径40Rのカーブをフルブレーキングしながら曲がる。路面はハイドロプレーニングよりもウェットグリップが問われる水深5mmに設定。ABSやタイヤを含めたクルマの総合的なブレーキ性能と、シャシーの旋回性能(ラインが外に膨らむクルマは危険)をみる。
ホンダ レジェンド ハイブリッドEX vs. レクサスLS500h Fスポーツ(ウェット旋回ブレーキ編)
タイヤコンデション
LEXUS LS500h F SPORT
以前にテストしたLC500h Fスポーツには、ミシュランのランフラットがセットされていた。銘柄はブリヂストン・トランザER300の20インチで、乗り味はスポーティだが、タイヤの硬さが目立った。
HONDA LEGEND HYBRID EX
アキュラ・ブランドを展開する北米市場でも高い評価を得ているミシュラン・パイロット・スポーツ3を日本仕様でも採用。性能を重視したゆえのPS3の選択に思えたが、ウェット性能は抜群だった。
先進技術を巧みに制御するレジェンド、中途半端なスポーティ感のLS500h
LEXUS LS500h F SPORT
●制動距離:57.5m(★★★☆☆)
100km/hでウェットの旋回路に入った瞬間、フロントタイヤの接地感がやや希薄になり、タイヤのウェット性能の影響だと直感した。制動力は満足できるが、初期のアンダーステアが発生し、ラインを正確にトレースすることが難しかった。進入初期の操舵性は極めて重要なので気になる部分であったが、車両重量に対して、タイヤのコーナーリングパワーが足りず、ステアリング系の剛性もいま一歩のため、アンダー気味で走行ラインがさらに外側に膨んでしまったようである。新採用のプラットフォームは、全体的な乗り心地こそしなやかにセットアップされていたが、もう少しダイレクトなハンドリング特性が欲しいところだ。
HONDA LEGEND HYBRID EX
●制動距離:53.0m(★★★★☆)
レジェンドのSH-AWDシステムは、前後の3モーターを複雑にリンクさせて制御を行なっており、実際のテストでは期待した以上にドライバーの意思どおりのライントレースをしてくれた。ウェット路でもストッピングパワーがしっかりと路面に伝わり、それが制動距離の短さに表れていたし、2018年2月のビッグマイナーでボディ剛性が高まり、さらに電子制御のチューニングを熟成させた方策が功を奏したようである。2回目はスポーツモードで試したが、モーターベクタリングの効果は大きく、旋回性能を明らかに高めていた。欧州の競合車と比較してもトップレベルのデータだが、ミシュランPS3のウェット性能も光っていた。