海外試乗

【海外試乗】「メルセデス・ベンツVクラス」もう商用車ベースとは言わせない!

発売5年後のビッグマイナーチェンジ

実は現在、正規ディーラーでも大人気車種であったハズのVクラスディーゼルV220dが、公式サイトから姿を消しているのをご存知だろうか。そう、間もなく日本にも新型がやってくるのだ。今は旧モデルの在庫一斉処分が終わった、モデル移行期間の真只中ってワケ。こうなると俄然、新型購入にボルテージが高まる諸兄も多いだろう。日本には2020年に導入予定の新型Vクラスに、スペインで試乗するチャンスを得たのでレポートしたい。

まず、新型に関してはフルモデルチェンジではなく、ビッグマイナーチェンジという位置付けだ。しかし、大きな変更が2点、加えられることになる。ひとつはパワートレーンの変更、そしてもう一点は生産ラインの移行だ。そしてキーワードは「商用ベースからパッセンジャーカーへ」。順に見てみよう。

まず外観から。エクステリアやインテリアも若干のブラッシュアップが加えられているが、ご覧の通り、大筋はキープコンセプトに留まっている。しかし、ここでも「パッセンジャーカーに寄せた」デザイン手法は多々取り入れられていて、最低限の変更ながらキリッとスタイリッシュに生まれ変わっている。具体的にはグリル下部に配された直線基調のエアインレット形状が変更されたほか、他モデルでも上級グレードに用意されることの多いダイヤモンドグリルがグレードによって採用された。また、AMGのデザイン要素を取り入れた「AMGライン」がラインアップに追加される。さらに本国では4つの新しい外装色と4つの新しいホイールデザインも用意されたのだが、日本にどれが入ってくるのかは未定だ。

「ラグジュアリーシート」という豪華内装も

プラットフォームには変更がないので、ボディサイズの変更もなく、現行で話題となった3つのボディ、「コンパクト(日本で言うところのショート)」「ロング」「エクストラロング」は健在。これらのバリエーションが導入されるのも期待したいところだ。そう、Vクラスの魅力は国産ミニバンよりもさらに大柄なボディにあると考えるファンは多いだろうが、エクストラロングで全長5370×全幅1928×全高1880mm。数字以上に見た目のインパクトがすごい。国産ミニバンにはないロング&ワイドなボディがいかにも輸入車らしい、というかメルセデス・ベンツらしい独特の迫力を醸し出している。新型ではそのボディサイズを室内空間にたっぷりと活かし、「ラグジュアリーシート」という豪華内装パターンも用意された。

2列目シートが独立型のキャプテンシートになっているのはもちろんのこと、3列目もまたキャプテンシートが備えられているパターンがあり(ベンチタイプの3座シートもある)、キャプテンシートを選んだ場合、たとえ3列目でもまるでソファのようにしっとり・どっしりしたサイズが最上のくつろぎ空間をもたらしている。2列目はまさにビジネスクラス仕様で、電動シートアジャスターがそれぞれのアームレスト内側に備えられるのはもちろんのこと、オットマンやエアクッション付きのフワフワヘッドレストも完備。さらにSクラス同等のマッサージ機能も付いている。天井にはセグメント最大クラスのガラスルーフを置いて開放感もバツグンだし、後席用の温冷保持機能付きドリンクホルダーは温かいとき赤、冷たいときは青のLEDライトで状態を知らせてくれたりもし、さらに運転席と助手席の間、コンソールボックス内にはミニ冷蔵庫まで用意された。もう、住めるやんレベルなんである。

運転席まわりもデザインや質感が洗練され、かつての商用車感が綺麗に払しょくされている。ただし、ナビゲーションシステムはじめインフォテイメントは「ハイ、メルセデス!」のMBUXがまだ用意されず、一世代前のものに留まった。アダプティブ・クルーズ・コントロールも今のパッセンジャーカーに用意されているステアリングホイール内のスイッチで操作するものではなく、ステアリングコラムから生えたウインカーレバーの下にもう一本備えられたバーを上下してセット/レジューム/オフをさせる機構のもの。とはいえさすがメルセデス・ベンツ。13もの予防安全技術や運転支援システムが新たに搭載されたから、性能的には大幅な進化を遂げていると言ってもいい。そう、大柄ボディーだからこそ、アクティブブレーキアシストなどがVクラスに初めて盛り込まれたのは歓迎したい点だ。

しかし、新型Vクラスのホントの進化は、走りの質感の劇的な向上にあるから困るのだ。ゴージャスな後席も魅力的だけど、実は運転こそが楽しい、んだもの。

今回、エンジンは2L直4ディーゼルターボの設定のみとなる。搭載されるのはすでにCクラスやEクラス、CLSでもお馴染みの「OM654」型で、トランスミッションはメルセデス・ベンツのバンで初となる9速ATに置き換えられた。これによって、継ぎ目のないなめらかな加速と恐ろしいほどのフラットさ、そして静粛性を手に入れたのだ。

商用バンにはない洗練された走りを披露

スペインで設定された試乗ルートはバルセロナの街を海岸線に沿って山に駆け上がる強烈なワインディング・ロードだったのだが、トルキーなエンジンのおかげでストレスはゼロどころか、もうどこまでも走りたくなっちゃうくらいのワクワク感を与えてくれる。しかも二駆モデルを選べばFRとなるんだから、旋回性能もミニバンと思えないほどの俊敏さであることは疑いようもない。四輪駆動の4MATICも試したが、これはまたビタ〜っとコーナーを舐めていくような絶妙な接地感で、巨体の不安をまるで感じさせない。

今回のこのハンドリングの軽妙さに関しては、アルミ製シリンダーの採用などにより、エンジンユニットが実に25kgもの減量の成功していることの貢献が大きい。それにより、ディーゼルエンジンにありがちな鼻先の重ったるさがなく、前後の重量配分が整ったことで路面の大きな荒れや欠けに対してもフロントがドスドス・バタバタしないため、結果的にドライバーへのストレスが軽減される結果となっているのだ。

むろん、メルセデス・ベンツならではの剛性の高さもその上質な走りを後押しする。ホテルや駐車場から一般道に出るときのギャップを越えたときなどの、リアのあっけないほどの収束は拍手モノ。これだけ開口部の大きいミニバンというパッケージにおいて、ボディー中間〜リアの捻じれやヨレのなさはさすがとしか言いようがない。本国では同じエンジンで出力違いが3種ラインアップするが、日本導入が濃厚なV220dは163hp。これだけ見ると驚くようなパワーではないが、380Nmを1,200〜2,400rpmと、かなり低いところから最大トルクを発揮するため不足感は微塵もない。そして9速ATがまた良い仕事なのだが、このトルクを繊細にギアでコントロールし、高速域までなめらかにパワーに繋げていくのだ。減速時は言うまでもない。その質感、まさにEクラス超え。もうVクラスはバンじゃない。「実にメルセデス・ベンツ」な走りを実現していた。

今後、特にアジア・パシフィックのマーケットにおいて、Vクラスの拡大は至上命題だ。というわけで、本国はメーカーを名指しにはしなかったもののおそらく、日本のアルファード・ヴェルファイアを徹底的にベンチマークしたと予想される。先述の最上級内装「ラグジュアリーシート」も本国よりまず先にアジアに導入するという。

メルセデス・ベンツはこれまでこのVクラスを商用車ラインで製造してきた。しかし、新型からは乗用車ラインに製造を移し、質感の向上でシェア拡大を狙う。販売価格はそれなりだろうけれど、アルファード・ヴェルファイアでさえも1000万を超える時代。となれば、世界の上級顧客を虜にしてきた同社がハイエンド層を喰う予想は存分に考えられるのだ。否、正直もっと設定価格を上げても、コレは売れるんじゃないか。そう思うほどの完成度だから、是非導入を期待していて欲しい。

問い合わせ先=メルセデス・ベンツ日本 https://www.mercedes-benz.co.jp/

今井優杏

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