カー・マガジン編集部員がこれは!と思った趣味グルマを紹介する、恒例の『100万円でドロ沼に陥る!? 』ですが、3回に分けてお送りしたイタリア車でドロ沼に陥る!? 、略して”イタドロ”も今回で3回目。字面で、整備の無限ループを想像した方、それは間違い。一度運転席に座れば、たちまちドライバーを魅了する。そんなイタリア車のドロ沼へようこそ!
レバー”ON”をお忘れなく
思い出はこれほど美化されてしまうのか……と落胆するほど遅い。久しぶりに運転したアバルト・プントが急速に色褪せてしまった。
新車へ試乗した際、欲しいリストの上位にランクインしていたのは勘違い? いや、そんなはずはない、と戸惑いながら車内を見回すと、シフトレーバー前方に、押すべしとでも言うように”SPORT”の切り替えレバーが鎮座しているのを見つけた。いざレバーを前方へ押し込み”SPORT”の文字が点灯するや否や、思い出に鮮やかさが蘇る。
1.4リッターターボが目覚めた瞬間だ。これこれ! とニンマリするほど、ピュンピュンとブースト圧の表示が左右に触れ、それに呼応して走りも軽快さを増す。これほど激変するんだっけ、と思いながら6速M/Tを繰る時間は幸福ともいえた。
前々回の126、前回の155、そしてプントの順に取材し、クルマの進化をまざまざと感じたが、操る楽しさは不変。どれも左ハンM/Tだが、気負わずぜひ楽しんでいただきたい。
全長は4mを僅かに超えるコンパクトボディながら、ベースはプントエヴォとあって使い勝手は良好。リアシートも実用的でラゲッジスペースも十分だ。インテリアの写真ではわかりづらいがシフトレーバー前方にSPORTとNORMALの切り替えレバーを備える。トランスミッションは6速M/T。シートはヘッドレスト一体型のスポーツタイプ。適度にショルダーが立ちホールド性は良好だ。フロントのブレーキキャリパーはブレンボ製を備える。
2011 ABARTH PUNTO
1,480,000円
【編集長の傍からヒト言】過去と未来を繋ぐ貴重なアバルト
例えば1980年代。ランチア037ラリーのパーツのあちこちに、これでもかと刻まれた”ABARTH”の文字に涙した世代からすれば、いまや堂々とスポーツ・ブランドを名乗る”アバルト”に、隔世の感アリ。そんな過去と現在をつなぐ絶妙(微妙?)なポジションに立つプントは、新生アバルトの鏑矢だ。そんな男気溢れる1台と暮らしたい。