海外試乗

【海外試乗】「ポルシェ・カイエンクーペ」スポーティに磨きをかけた! SUVクーペの新たなる主役

SUVでもクーペでもその走りはまさにポルシェ

ポルシェのSUVラインアップに新たなスポーティバージョンが加わった。単に、特徴的なリアルーフラインを纏ったカイエンのクーペ版というなかれ。そこには、ポルシェの最新テクノロジーはもちろん、アダプティブリアスポイラー、リアの個別シート、2種類のルーフコンセプトと、新機軸も盛りだくさんなのだ。

リアの上部にあるスポイラーは固定式だが、それとは別に90km/hを超えるとリアガラス下から135mm立ち上がる可動式スポイラーも備える。

己の身分をかえりみず、かなり上から目線であることは重々承知しているけれど、「ポルシェよお前もか」と思わず口を突いて出てしまったのは、カイエンクーペ発表の一報を知った時だった。
いつの頃からかSUVが爆発的に売れるようになり、それこそ猫も杓子もこぞってSUV市場へ参入するようになった。似たような商品が増えると、当然のことながら売り上げは頭打ちとなる。そこでライバルとの差別化を図るべく、試しにクーペのような格好をしたボディを載せてみたところ、「ここまで売れるとは正直思っていませんでした」と関係者が吐露するほどの大ヒットとなった。BMW X6のことである。SUVといえば機能性が最重要視されるものだと信じて疑わなかった自動車メーカーが「こういうのもアリなのか!」と気付いた瞬間だった。その後は皆さんもご存じの通り、格好を優先したSUVが続々と姿を現すようになった。

室内の景色や装備は基本的にカイエンに準じる。リアにかけてなだらかに下がるルーフラインのため、後席のヘッドクリアランスが心配になるが、ヒップポイントをカイエンよりも20mm下げたことでそれを解決。後席はふたり掛けが標準だが、無償で3人掛けも選択可能。

で、そんな中でのカイエンクーペの登場である。ポルシェまで(波に)乗っからなくてもいいのに、と思う反面、タイカンのために多額の投資をして工場まで新設したのだから、それを回収しなくてはならないわけで、やむを得ないのかなあとも納得した。
クーペの開発は現行カイエンと同時に進められたという。先代カイエンの開発途中でクーペの提案があったものの、やるなら開発初期からやるべきというポルシェらしい判断により今回のタイミングとなった。おかげで、ノーマルのカイエンからあらたに追加したボディの構造部材はほとんどない。

操縦性、動力性能、快適性、走破性が高い次元で成立

ルーフからハッチゲートへかけて大きくスラントさせたシルエットを成立させるため、Aピラーはカイエンより約1度寝かされた。このため、フロントドアのウインドーフレームとウインドーはクーペ専用だが、そこから下のドアパネルは基本的にカイエンと同一。Aピラーから前のフェンダーやボンネットもカイエンと共有しているそうだ。リアトレッドは22インチのタイヤ&ホイールを収めるために若干拡げられている。

エンジンは3種類が用意される。日本の道路環境ではまったく不自由のないカイエンクーペ、走る曲がるのバランスに長けたカイエンSクーペ、そして圧倒的パワーを誇るカイエンターボクーペ。それぞれの動力性能はクーペになってもほとんど変わらないという。

グレードとエンジンバリエーションはカイエンと共通で、カイエンクーペは340ps/450Nmの3L V6ターボ、カイエンSクーペが440ps/550Nmの2.9L V6ツインターボ、カイエンターボクーペが550ps/770Nmの4L V8ツインターボとなる。前後ともマルチリンク式でターボには空気ばねが標準というサスペンション設定もカイエンに準じている。

ラゲッジルーム容量はカイエンSの770~1710Lに対し、カイエンSクーペは、625~1540Lと若干少なくなる程度。

カイエンとの同時開発にこだわったというだけあって、その乗り味はクーペになってもほとんど変わらない。全高が約20mm低くなっているので、物理的には重心が下がっているはずだが、正直なところそれは強く意識しなかった。そもそも、カイエンに腰高の印象がないからそう感じたのかもしれない。ボディサイズや質量を忘れさせてくれるような俊敏で正確な操縦性と4輪の接地性の高さは、クーペでもこのクラスのトップレベルである。ステアリングを切った時のばね上の無駄のないスムーズな動きなどからは、スポーツカーの血筋がジワジワと伝わってくる。

急勾配のルーフラインが特徴的なカイエンクーペはガラスルーフが全車に標準装備される。3種類ある「ライトウエイトスポーツパッケージ」を選ぶとカーボンルーフとなる。

スポーティなハンドリングのSUVなら他にもあるけれど、カイエンやカイエンクーペの評価すべきは、操縦性と動力性能と快適性と走破性がいずれも高い次元でバランスよく成立している点にある。電制制御式ダンパーを含むPASMは標準装備なので、エアサスを選ばなくても優れた乗り心地と安定性をもたらす。
エンジンの選択に悩まされるのはポルシェの常だが、カイエンの時と同様、個人的には「S」のトータルバランスがもっともいいと思った。

【SPECIFICATION】カイエンSクーペ[カイエンターボクーペ]
■全長×全幅×全高=4931×1983×1676mm[4939×1989×1653mm]
■ホイールベース=2895mm
■トレッド(前/後)=1674/1671mm[1687/1688mm]
■車両重量=2050kg[2200kg]
■乗車定員=4/5名
■エンジン型式/種類=-/V6DOHC24V+ツインターボ[-/V8DOHC32V+ツインターボ]
■内径/行径=84.5×86.0mm[86.0×86.0mm]
■総排気量=2894cc[3996cc]
■圧縮比=10.5[10.1]
■最高出力=440ps(324kw)/5700-6600rpm[550ps(404kw)/5750-6000rpm]
■最大トルク=550Nm(56.1kg-m)/1800-5500rpm[770Nm(78.5kg-m)/2000-4500rpm]
■燃料タンク容量=75L(プレミアム)[90L(プレミアム)]
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前マルチリンク/コイル、後マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前Vディスク、後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前275/45ZR20(9J)[285/40ZR21(9.5J)]、後305/40ZR20(10.5J) [315/35ZR21(11J)]

【問い合わせ】
ポルシェジャパン 0120-846-911

リポート=渡辺慎太郎/S.Watanabe フォト=ポルシェジャパン ル・ボラン8月号より転載
LE VOLANT web編集部

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