SUVでもクーペでもその走りはまさにポルシェ
ポルシェのSUVラインアップに新たなスポーティバージョンが加わった。単に、特徴的なリアルーフラインを纏ったカイエンのクーペ版というなかれ。そこには、ポルシェの最新テクノロジーはもちろん、アダプティブリアスポイラー、リアの個別シート、2種類のルーフコンセプトと、新機軸も盛りだくさんなのだ。
己の身分をかえりみず、かなり上から目線であることは重々承知しているけれど、「ポルシェよお前もか」と思わず口を突いて出てしまったのは、カイエンクーペ発表の一報を知った時だった。
いつの頃からかSUVが爆発的に売れるようになり、それこそ猫も杓子もこぞってSUV市場へ参入するようになった。似たような商品が増えると、当然のことながら売り上げは頭打ちとなる。そこでライバルとの差別化を図るべく、試しにクーペのような格好をしたボディを載せてみたところ、「ここまで売れるとは正直思っていませんでした」と関係者が吐露するほどの大ヒットとなった。BMW X6のことである。SUVといえば機能性が最重要視されるものだと信じて疑わなかった自動車メーカーが「こういうのもアリなのか!」と気付いた瞬間だった。その後は皆さんもご存じの通り、格好を優先したSUVが続々と姿を現すようになった。
で、そんな中でのカイエンクーペの登場である。ポルシェまで(波に)乗っからなくてもいいのに、と思う反面、タイカンのために多額の投資をして工場まで新設したのだから、それを回収しなくてはならないわけで、やむを得ないのかなあとも納得した。
クーペの開発は現行カイエンと同時に進められたという。先代カイエンの開発途中でクーペの提案があったものの、やるなら開発初期からやるべきというポルシェらしい判断により今回のタイミングとなった。おかげで、ノーマルのカイエンからあらたに追加したボディの構造部材はほとんどない。