積極的にシフトパドルを使って走りたくなる!
ジュリアのラインアップにディーゼルエンジン搭載モデルが加わった。その乗り味は、持ち前の加速性能や気持ちのいいハンドリングをまったく損なうことなく、何から何まで“いつもの”ジュリア。撮影時はあいにくのウェットコンディションであったが、ドライ路面で試乗した印象をお届けしよう。

2017年、約40年ぶりにその名が復活したアルファ・ロメオ・ジュリア。FRセダンとしても、かつてのアルファ75以来25年ぶりの新世代ジュリアは、キレ味抜群のハンドリング性能と官能的な走りが魅力と言えるDセグメント随一のスポーツセダンだ。そんなジュリアにディーゼルエンジン搭載モデルが追加ラインアップされ、箱根ターンパイクを舞台に、その走りを体感する機会を得た。

車重はガソリンエンジンの同グレード(スーパー)と10kgしか変わらなく、ハンドリングのよさや曲がる時の気持ちよさはまったく損なわれていない。足元には10スポーク18インチアルミホイールを装着する。
今回導入されたのは、2.2ターボ・ディーゼル・スーパーと呼ばれるモデルで、装備内容はガソリン仕様の2.0ターボ・スーパーと共通。エンジンのみ2.2L直4ディーゼルターボとなり、価格は556万円(消費税込み)と、ガソリン車の13万円アップとなっている。
2142ccの排気量を持つ直4ディーゼルターボは、最高出力190ps/3500rpm、最大トルク450Nm/1750rpmと、クラストップレベルのスペックを誇る。2.0ターボ・スーパーなどが積む2L直4ガソリンターボと同時期に開発されたこのディーゼルユニットは、アルミニウム製エンジンブロックや中空カムシャフトなどを採用し、単体重量155kgと軽量である点も特長だ。


アルファのディーゼルとしては初となるアルミ製エンジンブロックを採用。e-VGT(電子制御式バリアブルジオメトリーターボ)により、低回転域からターボラグのないレスポンスと高いトルクを発揮。
またバランサーシャフトにより振動低減を図っているほか、e−VGT(電子制御式バリアブルジオメトリーターボ)や2000バールの高圧燃料噴射を一行程に最大8回行なう高精細な燃料噴射システム「マルチジェットII」によりターボラグが少なく、レスポンスのいいエンジン特性を実現。さらにDPFや尿素SCRなどにより、ヨーロッパのユーロ6d−TEMPはもちろん、世界的にも厳しい日本のポスト新長期規制をクリアする環境性能も備えている。
オルタナティブとして大きな存在感を発揮
走った印象を簡潔に言うと、とにかく静かである。これにはバランサーシャフトに加えて、インシュレーターの素材や配置をガソリン車から変更し、エンジンノイズを可能な限りキャビンに伝えないよう徹底したことが奏功している。ウインドーを開けないかぎり、キャビン内はガソリン車を上回るほどのレベルで、極めて高い静粛性を実現している。

ディーゼル搭載車はモノグレードとなり、インテリアの設えはガソリンモデルと同じ。自動緊急ブレーキや車線逸脱時に警告を与えるレーンデパーチャーウォーニングなど先進安全機能も装備する。
走りそのものもとても上質だ。わずか1250rpmで300Nmを発揮する優れたトルク特性を持つエンジンは、ガソリン車と同様に8速ATが組み合わされるが、変速は非常に滑らかかつ伸びやかで気持ちのいい加速を披露する。大トルクに加え、ガソリン車に対して車両重量はわずか10kgしか増加していないのだから当然だ。
しかも、どこまでもフラットトルクな昨今のディーゼルとは異なり、トルクバンドの存在を感じさせる絶妙なトルク特性のため、積極的にシフトパドルを使って走りたくなる、アルファならではの官能性も備えている。本国仕様には仕様の異なるエンジンでMT車も用意されているそうだが、これもきっと楽しい仕上がりなのだろう。
ハンドリングに関しては、ガソリン仕様より若干だが大人しい印象。サスペンションのセッティングやタイヤがまったく同じで、フロントの重量だけが増えているのだから当然だが、とはいえジュリアらしい俊敏な走りは健在で、ワインディングロードを気持ち良く走ることができた。

より刺激的な走りを求めるならガソリン車のセレクトをおすすめするが、上質感や懐の深い走りを重視するならディーゼルを選ぶべき。WLTCモードで17.2km/Lと経済性も高いので、2.2Lディーゼルターボはかなり魅力的な選択肢である。
ドイツ系のモデルが幅を利かせているこのクラスにアルファ・ロメオが投入した最新ディーゼルは、オルタナティブとして大きな存在感を発揮することになりそうだ。
【SPECIFICATI】アルファ・ロメオ・ジュリア 2.2ターボ・ディーゼル スーパー
■全長×全幅×全高=4645×1865×1435mm
■ホイールベース=2820mm
■トレッド(前/後)=1555/1625mm
■車両重量=1600kg
■乗車定員=5名
■エンジン型式/種類=46335975/直4DOHC16V+ターボ
■内径/行径=83.0×99.0mm
■総排気量=2142cc
■圧縮比=15.5
■最高出力=190ps(140kW)/3500rpm
■最大トルク=450Nm(45.9kg-m)/1750rpm
■燃料タンク容量=58(軽油)
■燃費(WLTC)=17.2km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前Wウイッシュボーン/コイル、後マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前Vディスク、後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前225/45R18、後255/40R18
■車両本体価格(税込)=5,560,000円
【問い合わせ】
FCAジャパン 0120-779-159