メルセデス・ベンツ特集 2019

【徹底研究】48V電気システムを搭載したISGとBSGは何がどう違うのか?

全域で実用的なトルクを発揮するISG

両システムに共通するのは、エンジン始動時に使うスターターを大型化して、走行時にモーターとして駆動力をアシストする点(=マイルドハイブリッド)と、1kWhのリチウムイオン電池を搭載した48Vの電気システムを併用している点にある。補器類でのエネルギー損失を減らすだけでなく、モーターによる駆動力の上乗せまで狙っているのである。

S450 EXCLUCIVE

■全長×全幅×全高=5125×1900×1495mm■ホイールベース=3035mm■車両重量=2040kg■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ターボ+SC/2996cc■最高出力=367ps(270kw)/5500-6100rpm■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/1600-4000rpm■トランスミッション=9速AT■サスペンション(F:R)=4リンク:マルチリンク■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク■タイヤサイズ(F:R)=245/45R19:275/40R19■車両本体価格(税込)=13,900,000円

ちなみに、あえてベルト駆動を残したBSGをISGとは別にわざわざ開発した主な理由は、ISGよりも構造がシンプルなBSGであれば、いざとなれば既存のエンジンに後付けできるからだ。BSGを搭載したユニットが“電動化”として認められれば、今後その発動が示唆されている「内燃機の販売禁止」の対象にならない可能性もある。もしもそこまで見据えた戦略だとしたら、やっぱり「さすがメルセデス」である。

ISGは新開発の直列6気筒エンジン(M256型)と組み合わされ、ターボと電動スーパーチャージャの両方を備える。そもそも直6は排気量の割にトルクが細めの傾向にある。そこでスタート時にはエンジンとATの間に置かれたモーター、低回転域ではスーパーチャージャ、そして中高速回転域ではターボを使うことにより、全域でのトルクを太らせることに成功している。直6らしいスムーズな回転フィールを残しつつ、実用的なトルクがいつでも手に入るというわけだ。

BSGは直列4気筒+ターボに組み合わされる。こちらはスーパーチャージャがないので、モーターとターボの守備範囲とバトンタッチを上手に制御することで、扱いやすいユニットに仕立てている。ISGもBSGも、モーターによる駆動力アシストは強く意識させられない。それでも、通常の直4や直6よりは明らかにパワフルで燃費もいい。内燃機特有のエンジンフィールも、これならまだもう少し楽しめそうである。

ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)

いずれも、48V電気システムを採用した新技術を搭載することにより、効率性、快適性、高性能化を同時に実現。パワフルかつ低燃費を両立したパワートレインに仕上がっている。
搭載モデル:CLS450 4マチックスポーツ/S450/S450エクスクルーシブ/S450ロング/メルセデスAMG CLS53 4マチック+/メルセデスAMG E53 4マチック+/メルセデスAMG E53 4マチック+ステーションワゴン/メルセデスAMG E53 4マチック+クーペ/メルセデスAMG E53 4マチック+カブリオレメルセデスAMG GT43 4マチック+/メルセデスAMG GT53 4マチック+

 

 

リポート:渡辺慎太郎/S.Watanabe フォト:郡 大二郎/D.Kori ル・ボラン6月号より転載

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