夏の暑さがひと一段落し“熱さ”が恋しくなる季節にオススメのGTターボ
フロントに横置きされた水冷直列4気筒OHVユニットは、排気量1397ccでターボチャージャーの過給により前期モデルで115HP、今回取り上げる後期モデルでは120HPを発揮する。同時代にラインアップされていた、本革張りのシートなどで上質を売りとしたサンク・バカラが1.7Lで73HPだったことを考えると、いかにハイスペックか想像できるだろう。しかも車重は、現行のダイハツ・コペンのマニュアルモデルと同じ850kg(オートマモデルは870kg)だ。そのトレードオフ(?)として、タービンやファン、補機類などが追加されたGTターボのエンジンルームはぎっしり詰まっており、夏場の渋滞などでは水温計の針の行方を気にする必要が出てくるだろう。
ベースとなるシュペール・サンクは、コンパクトで実用性の高いクルマとしてフランス本国のみならず、ヨーロッパでベストセラーを記録している。その美点はGTターボへもしっかりと受け継がれているため、日常使用でも活躍してくれるはずだ。大振りのシートはホールド性がありつつも、ルノーらしく素晴らしい座り心地を持つ。取材車では擦れやすいショルダー部分に傷みがあったが、部分加修で対応できそうだ。リアシートについては使用感はあまりなく良好なコンディションが保たれていた。ちなみにリアシートは60:40の分割可倒式で、ラゲッジスペースを広くとることもできる。
フレンチ・ホットハッチとして、本誌の誌面を幾度となく飾ってきたシュペール・サンクGTターボ。その魅力を実際に体感するチャンスは、個体の減少に併せて減る一方だ。比較的高年式、キャブエンジン、ターボ、マニュアルとなれば、さらにその選択肢は減るだろう。夏の暑さがひと一段落し、“熱さ”が恋しくなる季節にオススメのクルマとして、GTターボを挙げたい。
1990 RENAULT 5 GT Turbo
価格●890,000円
レア度 ★★
フレンチロケット度 ★★★★★
ドロ沼度 ★★★★
GTターボは、比較的高年式のキャブエンジン+ターボ+マニュアルをお探しであれば必見のモデルといえる。エンジンルームにはあまり余裕がないため熱に強いとは言い難いが、これからは涼しくなる季節だけに、ホットハッチの購入を検討するなら一見の価値あり。
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