国内試乗

【国内試乗】「ランドローバー レンジローバー イヴォーク」ボディサイズもデザインも基本キープコンセプト

センセーションをもう一度!

ヴェラールから新たなデザインランゲージを語り始めたレンジローバーの第2弾となるのが、この2代目イヴォーク。写真で見る限りはウリふたつにも思える2台だが、実車を前にすれば違いは一目瞭然。威風堂々たる兄貴分に対して、いまにも走り出しそうな緊張感と躍動感は若さゆえ? 鮮烈な印象は初代を上回る。

R-Dynamic HSE P300 MHEV。電動化に対応する新プラットフォーム「PTA(Premi um Transverse Architecture)」は今回が初採用。

2010 年に初代イヴォークが発売されたときの衝撃は、まだ記憶に新しい。モーターショーで目立つよう、やや誇張気味にデザインコンシャスへ特化したと思っていたスモールSUVコンセプト「LRX」が、ほぼそのままのカタチで姿を現したからだ。
ベルトラインは後方へ向けて跳ね上がり、ルーフラインは逆に下降。だから、もともと天地が狭めのサイドウインドーが後端では極端に細くなる。当時のSUVの大半はキャビンが広くて開放的なのが魅力に映ったが、斬新なクーペ風としたイヴォークは異端児だった。そのユニークなデザインはたしかに目を惹き、それだけで飛びついたユーザーも多かったが、一方でこういう強烈なデザインは飽きられるのも意外と早いのでは? という疑念も抱いていた。

内装の仕立ては真に“モダンブリティッシュ”。ふたつの10インチタッチスクリーンからなる「Touch Duo Pro」が標準装備となる。

ところが、徐々に街で見かけるようになってからもイヴォークの鮮度はまったく落ちることなく、ランドローバー史上最速となる4年間で50万台達成というヒット作となり、8年の時を経ても輝きを失わないまま次世代へバトンタッチすることになった(累計販売台数は80万台以上に及んだ)。斬新なのに色褪せないというのは、それだけデザイン力が高かったということなのだろう。飽きが早い? なんて穿った見方はまったくの見当違いだったのだ。
2代目イヴォークのデザインは基本的にキープコンセプト。ボンネットやサイドのプレスラインは減らす、もしくはニュアンスが弱められて面構成としてはシンプルにして洗練させ、キャビンが小さく見えるイヴォーク特有のクーペ感がより際立つようになっている。ボディは全長が16mm伸び、全幅が4mm広がり、全高が14mm高くなっているが、どれもわずかな差でサイズ感はほとんど変わらない。レンジローバーとしてはコンパクトで、日本の都市部でもそれほど持て余すことがないのが嬉しい。

先代に対してホイールベースを20mm延長したことで、後席足元にはさらなるゆとりが。レザーのほかにモダンなテキスタイルなどシートトリムの選択肢は多彩。

日本導入モデルのエンジンは、いずれもジャガー・ランドローバーが2016 年に新開発したインジニウムの2L直列4気筒ターボで、ディーゼルはD180(最高出力180ps/最大トルク430Nm)、ガソリンはP200(200ps/320Nm)、P250(249ps/365Nm)、そして48V電源のマイルドハイブリッドを搭載したP300MHEV(300ps/400Nm)の4種類で、トランスミッションは9速AT。先代と同様にエンジン横置きのFFベースAWDとなる。なお、プラットフォームは新世代のPTA(プレミアム・トランスバース・アーキテクチャー)の初出だ。

デザインやフィニッシュだけでなく動的質感も確実に洗練度を増している

今回試乗したのはトップグレードのR-DYNAMIC HSE P300MHEVと、中間グレードのSE P250。まずは後者を乗り出してすぐに感じたのは、見た目と同様に動的な質感も洗練度が上がっているということ。タイヤの転がり感、エンジン/トランスミッションから駆動系に至るドライブトレイン、サスペンションのストロークなど、あらゆる可動部分のフリクションが徹底的に低減されていて、実に滑らかに走っていく。初代イヴォークは、クーペ感を強調するようにシャープなハンドリングの持ち主で、スポーティさとは引き換えにやや粗さのある乗り味だったが、それがまったくもってなりを潜めた。静粛性もたいしたもので、路面が荒れていてもロードノイズは巧く抑えられていて、一般的なペースでの走行ならばエンジン音もほとんど耳に届いてこない。

ラゲッジルーム容量は通常時で591L、最大で1383Lを確保。後席シートバックは40:20:40の3分割可倒式となる。

ワインディングでペースを上げてみると、ちょっと強めのブレーキングでわかりやすくノーズダイブしていく。ピッチングの動きはやや大きめといったところで、スポーティさよりも快適性を重視したセッティングなのかな? とも思わされたが、コーナーへ進入してみればロール方向の剛性はそれなりに確保されていて、SUVの背の高さを感じさせない。なるほど、巧みにスポーティとコンフォートを両立しているのだ。舵の効きも望外によかった。初代のようなキュンキュンとした動きではなく、落ち着いた雰囲気ながら正確なハンドリングを実現している。

写真はオプション設定となる21インチの“スタイル5078”5スプリットスポークホイール。このほか17〜21インチまで豊富に用意。

最大トルク365Nmのエンジンは、1787kgの車両重量に対して必要にして十分+αといったところ。インジニウムの初期の頃に比べれば低回転域のターボの立ち上がりがかなり素早くなり、9速ATも進化しているようで、スペック以上に力強く、ドライバビリティがよく感じられる。回せば6500rpmまでスムーズに吹け上がり、クロス気味のギア比によってテンポ良く加速。100km/h巡航では9速・1500rpmなので極端にハイギアードを狙ったのではなく、クロス気味にすることで燃費と加速、ドライバビリティの向上が図られている。

パワーユニットは2L 4気筒ターボのインジニウムをチューン違いで用意する。初のマイルドハイブリッド搭載もニュース。

もう一のP300MHEVはスタータージェネレーターが加速のアシストもしているが、それは明確には体感できない。とはいえ、そもそも400Nmの大トルクを発生するエンジンによって、頼もしさはワンランク上。100km/hで9速・1500rpmというのはP250と変わらないが、その回転域でのトルクがより充実しているので高速巡航に落ち着きがあって余裕綽々。洗練されたシャシーと相まって、ロングドライブなどでの疲れは最小限に抑えられることになる。

写真は250ps仕様のSE P250。シャシーやトランスミッションなどを自動制御するテレイン・レスポンス2は、実はイヴォークには初搭載。

MHEVのいいところは、17km/h以下で早々とアイドリングストップし、エンジン再始動が素晴らしくスムーズなことだ。全力ダッシュしたときの爽快感もP250を確実に上回る。驚くほど速いというわけではないが、イヴォークのもつスポーティなイメージに相応しいパフォーマンスで、シフトパドルを操作して積極的に多段ATを操るのが楽しい。
2代目となったイヴォークの乗り味は大いに洗練された。エンジン横置きのFFベース車としては、世界一高級感のある乗り味だろう。これぞ正真正銘のレンジローバーブランド。そのコクのある深い味わいの虜になりそうだ。

【SPECIFICATI】ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク SE P250[RダイナミックHSE P300 MHEV]

■全長×全幅×全高=4380×1905×1650mm
■ホイールベース=2680mm
■トレッド(前/後)=1625/1625mm
■エンジン型式/種類=-/直4DOHC16V+ターボ
■内径/行径=83.0×92.2mm
■総排気量=1995cc
■最高出力=249ps(183kw)/5500rpm[300ps(221kw)/5500-6000rpm]
■最大トルク=365Nm(37.2kg-m)/1500-4500rpm[400Nm(40.8kg-m)/2000-4500rpm]
■燃料タンク容量=67L(プレミアム)
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前Vディスク、後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前235/50R20(8J)、後235/50R20(8J)
■車両本体価格(税込)=6,460,000円[8,010,000円]

【問い合わせ】
ジャガー・ランドローバー・ジャパン 0120-18-5568

リポート:石井昌道/M.Ishii フォト:郡 大二郎/D.Kori  ル・ボラン8月号より転載
石井 昌道

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