
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number96 SEASON.11:情熱のイタリアンSUVが、ベンチマークたるジャーマンSUVに挑む
アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・ファーストエディション vs ポルシェ・マカン/Test01:加減速テスト
テストの「方法」と「狙い」
●加速テスト:静止状態からフル加速し、100km/hに到達するまでの時間から平均加速Gを算出。非力なクルマは0.15G程度、高性能車では0.6Gに達するクルマもある。エンジン、トランスミッション、トラクションのかかり方といった、パワートレイン全体の能力をみる。
●ブレーキテスト:100km/hからフルブレーキング、停止するまでの時間から平均減速Gを算出する。減速Gはどんなクルマでも0.8G-1.2G程度だが、加速Gに対応した減速Gを持っていることが重要。そうでないクルマは危険といえる。
アルファロメオ ステルヴィオ 1st エディション vs ポルシェ マカン(加速編)
アルファロメオ ステルヴィオ 1st エディション vs ポルシェ マカン(減速編)
官能性能だけではないことを証明! 制動力でもマカンに迫ったステルヴィオ
PORSCHE MACAN
加速0.39G(★★★★☆)減速1.07G(★★★★☆)
ステルヴィオと同じ2Lターボだが世代的には少し旧い。だが、ポルシェチューンによって252ps+370Nmを絞り出す。パワートレイン全体の制御が素晴らしく、PDKとエンジン制御が妙味である。一般的にツインクラッチは発進が苦手だが、ポルシェのPDKはスムーズだ。エンジンの回転を必要以上に上げないで微妙にクラッチを繋いでいる。さすがポルシェである。走り出してしまえば1.8トンの重さを感じさせない加速力が与えられており、ブレーキはABSの制御がきめ細かく、減速度が低下する感じがない。ブレーキフィールが変化せず維持されるのも好印象。100→0km/hの停止距離は38.74m。
ALFA ROMEO STELVIO FIRST EDITION
加速0.43G(★★★★☆)減速1.07G(★★★★☆)
フェラーリのように官能的な2Lターボは280ps+400Nmを発揮し、加速は強烈で、エンジンのレスポンスとサウンドがイタリア車らしい。しかもAWDなので、発進からトラクションロスが少なく、出だしからバカっ速い。そのフィールはトルコンATのためスムーズだが、スポーツモードで走ると変速ショックを意図的に与えているせいか、よりダイレクト感が際立つ。ブレーキはペダルを踏んだ瞬間から減速度を発生させ、最終的にABSが働くものの効きは素晴らしい。フロントのノーズダイブも少なく、4つのタイヤの接地力も高そうだ。100→0km/hの停止距離は37.09mでマカンを凌駕。