清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト（Dynamic Safety Test）
Number96 SEASON.11：情熱のイタリアンSUVが、ベンチマークたるジャーマンSUVに挑む

アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・ファーストエディション vs ポルシェ・マカン／Test03：ダブルレーンチェンジ

●テストの「方法」と「狙い」：80km／hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC（横滑り防止装置）など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。

アルファロメオステルヴィオ 1st エディション vs ポルシェマカン（ダブルレーンチェンジ編）

アルファロメオステルヴィオ 1st エディション vs ポルシェマカン（ハイスピードライディング編）

ともに挙動を一切乱すことなく、安定感のあるダイナミクスを披露

PORSCHE MACAN

●操縦安定性：★★★★☆
●平均通過速度：74.56km／h（2回平均）

ステルヴィオほど俊敏ではなかったとはいえ、やはりドライバーの操作に対して突飛な動きなど皆無で、急なステアにも挙動を乱すことはなく、基本性能は相当高いようだ。PSMはあまり介入してこず、隣のレーンには瞬時に移動し、元のレーンにも狙った位置に戻る。ピタリとロールとヨーイングが収まってしまうため、ドライバーがパニックに陥ることもないだろう。SUVは左右のGフォースの変化（ロールチェンジによる荷重移動）が起きた際に挙動を乱しやすいが、マカンはシャシー性能だけで抑えてしまう。それがポルシェの秀逸なところだ。

リアサスペンションの収斂性が優れているのでレーンチェンジは忍者のごとく

ALFA ROMEO STELVIO FIRST EDITION

●操縦安定性：★★★★☆
●平均通過速度：72.65km／h（2回平均）

ダブルレーンチェンジは1秒以内で生じる俊敏性と収斂性の挙動バランスが問われるテストであるため、背が高いSUVはやや苦手な種目だ。しかしそこはアルファ・ロメオ。ステルヴィオにも走りの血統が受け継がれており、クシャミしただけで隣のレーンに移動するほどステアリングフィールは敏感。だから、一発目のレーンチェンジは忍者のごとく、あっという間に隣のレーンに移動する。リアサスペンションの収斂性が優れているので、その後も挙動を乱すことはなく、終始高い安定感を発揮。ESCはガツガツと作動するわけではなく、制御は最小限にとどめており、そのさじ加減は見事である。