自動車型録美術館

ルノー・サンクターボ1/ラリーのベース車とはとても思えない瀟洒な内装【自動車型録美術館】第11回

ルノー・サンクターボ1/RENAULT 5 TURBO1

今回はストレートに写真で構成されたカタログです。小振りながら、ケースに冊子とカードが収められています。

ルノー・サンクターボ

ルノーは、会社としてはお役所的な成り立ちながら、時々思いきったクルマを出すことがあります。サンクターボもそのような1台。いくらストラトスがラリーで成功したからといって、ターボで武装した1.4リッターエンジンを無理矢理サンクのミッドに押しこんで市販するなど、なかなかできるものではありません。それをアルピーヌの聖地、ディエップで生産してしまうのですから、もう、あきれて、否、うれしくてあいた口がふさがりませんでした。

ケース入りという至福

そんなサンクターボですから、カタログも実に凝っています。当時ルノーを扱っていた渋谷のキャピタルでカタログを所望すると、出てきたのがこのケース入りカタログでした。無理を言ってその場で2部ほどいただいて帰りました。

サンクターボ1とターボ2は似て非なるクルマ、特に内装の違いにその感を強くします。

サンクターボ1のカタログのツボ

特製のケースに収まるカードは5枚。どれも写真のクオリティが高く、額装したくなるほどです。サンクターボは、まるでコンセプトカーのような存在で、生産車然としたターボ2とはかなり異なっています。サンクターボ1のカタログをよくみると、ケースはオレンジの地に青い文字。中のカードも基本的にこのオレンジと青の2色を際立たせたもの。こうした徹底したつくりもこのカタログの魅力になっています。

ターボ1のカタログはまるで大人向けの絵本のよう、カードは上質な写真で、冊子は人が描いた絵が主体、実に勘所をおさえたつくりになっています。

サンクターボ1はまるでコンセプトカーのようです

ラリーのベース車とはとても思えないほど瀟洒な内装を持つサンクターボ1。カタログからもラリーの泥臭さはあまり感じられません。この正方形のカタログ形状と、ターボの文字がエンボスされた表紙は、しばらくルノー製高性能車カタログの雛型となります。たとえば、ルノーのターボ車やアルピーヌA610の限定車などは、このサンクターボ1のカタログと雰囲気が似ているのです。ただしサンクターボ2は、そのクルマの性格同様、カタログも実に質実剛健。サイズこそ大きくなりますが、通常のセンターホールドタイプで10ページほどのカタログになっています。ターボ2のカタログも折をみてこちらで採りあげる予定です。
●サイズ(縦×横)カード:235mm×235mm(5枚)冊子:235mm×235mm(8p)ケース:247mm×247mm 

ターボ1は静物として眺めているだけで満たされる気がするのに対し、ターボ2は、やはり走ってナンボ。いずれ、サンクターボ2もストラトスのカタログと併せてご紹介しますので、おたのしみに。

 

 

Text:板谷熊太郎 /Kumataro ITAYA カー・マガジン463号(2017年1月号)より転載

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