自動車型録美術館

フォード・コンチネンタルMk.II/どこの誰だか知らないけれど、誰もがみんな知っている【自動車型録美術館】第14回

FORD CONTINENTAL Mk.II/フォード・コンチネンタルMk.II

前回の英国正統ラグジュアリーであるデイムラーに対し、今回は新興国米国のラグジュアリーです。

フォードの訴求点

デイムラーのカタログが、ラグジュアリーか否かは顧客で決まる、と訴えているのに対し、フォードはこのカタログで、徹頭徹尾コンチネンタルがどのようにつくられているかを語っています。生産工程の革新でクルマを大衆のものとしたフォード、彼らのラグジュアリーたるポイントは、つくり方に集約されているようです。

コンチネンタルMk.II

当時の米車には珍しく、お披露目されたのは1955年のパリサロンです。1956年型と1957年型があり、総販売台数は3000台程度とのこと。顧客にはエリザベス・テイラーやフランク・シナトラ、そしてエルビス・プレスリーなどの名が並んでいます。フォードはこのコンチネンタルでロールス-ロイスやキャデラックを凌ぐパーソナルカーを目指しました。

ストーリー仕立てのカタログ

カタログ自体は6章ものストーリーからなる、56ページの大作です。意外かもしれませんが、カタログのどこにもリンカーンの文字はありません。このクルマは、あくまでフォードのコンチネンタル・ディヴィジョンが製造するコンチネンタルMk.IIなのです。カタログには『誰もが知る秘密』という章もあり、つい、幼い頃に聴いた月光仮面の歌、『どこの誰だか知らないけれど、誰もがみんな知っている』を思い出してしまいました。

●サイズ(縦×横)242mm×330mm
●全56ページ

Text:板谷熊太郎 /Kumataro ITAYA カー・マガジン466号(2017年4月号)より転載
CAR MAGAZINE編集部

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