
この走破性、使わなくても手に入れたい
年間販売台数は2017年、2018年と2年連続で1万台を突破し、2018年は過去最高となる1万1415台を記録したジープブランド。その販売台数の多くを占めるのがラングラー・アンリミテッドだ。今回は、自社が設定した過酷な走行テストをクリアしたモデルのみ付けることが許される「トレイルレイテッッド」のバッジを冠したラングラー・アンリミテッド・ルビコンの実力を富士ヶ嶺オフロードで試した!
2年前、タスマニアの大自然でコンパス・トレイルホークの試乗会に参加した時、JK型ラングラー・アンリミテッド・ルビコンがサポートカーとして同行していた。「トレイルホークがスタックしても、これで助けに行けないところはない」と現地スタッフから言われたが、今回の試乗会でその“自信”が腹に落ちた。最新のJL型ラングラー・アンリミテッド・ルビコンを富士ヶ嶺オフロードで走らせたが、いとも簡単にすべてのセクションを走破してみせた。今回のコースセッティングは、通れるか通れないかの極限コースではなく、クルマの機能や性能を確認・理解することが目的。自らステアリングを握るだけでなく、本国で車両開発に携わるシルバート氏の運転にも同乗させていただき、所作や挙動について質問した。
トレイルレイテッドのバッジを冠する中でも、このモデルのみが備える機能は2つ。後輪または前後輪両方のディファレンシャルを直結状態にできる「前後輪ディファレンシャルロック」と、フロントのスウェイバーを2つにセパレートして、フロントアクスルをより柔軟にストロークさせられる「電子制御式フロントスウェイバーディスコネクトシステム」だ。
特に後者はモーグル路で使用すれば効果的で、タイヤの接地力はすさまじく、平行を保ちながらトラクションを確実に路面へ伝えることができた。氏いわく、ラングラーベースのピックアップトラック、グラディエーターに部品共用することも踏まえて、スウェイバーの剛性を高めているそうだ。
そして、ボディ剛性の高さにも抜かりはない。モーグル、キャンバー、ヒルクライムと一通りのオフロードを走っても不安なキシミ音に苛まれることはなかった。ステリングも芯がしっかりしていて、JL型になっても前後ともプリミティブなリジットアスクルだが、乗り心地は良好。「エアサス以上だろ?」という同氏のジョークもあながち冗談ではないと思えた。
ラングラー・アンリミテッド・ルビコンの2019年モデルは発表と同時に即完売。2020年モデルの国内販売も決定しているので、どうしても手に入れたい方は、発表と同時に予約することをオススメする。
【Specification】JEEP WRANGLER UNLIMITED RUBICON/ジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコン
■全長×全幅×全高=4870×1895×1850mm
■ホイールベース=3010mm
■車両重量=2050kg
■エンジン種類/排気量=V6 DOHC24V/3604cc
■最高出力=284ps(209kw)/6400rpm
■最大トルク=347Nm(35.4kg-m)/4100rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=コイルリジット:コイルリジット
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ=LT255/75R 17:LT255/75R 17
■車両本体価格(税込)=5,886,000円
【Other Models】
ラングラー・アンリミテッド・ルビコンとは一部コースは異なるが、トレイルレイテッドのバッジを冠した他モデルの試乗も行えた。ぬかるみ、登坂路、モーグルで立ち往生することもなく、バッジにふさわしい走破力を見せてくれた。
【Interview】
ジープ車両開発担当エンジニア
リッチ・シルバート
「トレイルレイテッド」のバッジは安心と自信です
「トレイルレイテッドのバッジを付けられるのは、最終テストのオフロードコースを大きな損傷なく走り切れ、その後も一般道を通常通り走れるかどうか試し、“合格”したモデルです。接地性、機動性、渡河性能などを総合的に試すテストですが、例えばラングラー・アンリミテッド・ルビコンとレネゲード・トレイルホークの走破力には差があります。それは、同じコースでもライン取りを変えることで走破できれば、“クリア”としています。この性能をフルに使うシーンは、世界広しといえども決して多くはないはずですが、これらのポテンシャルが、乗る人への安心や自信につながることもまた大切だと考えています」
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