電動パワートレインと自動運転技術を前面に押し出して勝負を仕掛けるニッサンが、世界ナンバーワン電気自動車の2世代目にハイパフォーマンス版を追加してきた。その十二分な航続距離やパワフルな走りは、世界シェアを席巻できるのだろうか?
販売実績世界一の座を欧州勢と本格的に争う
初期型が2010年発売だから、すでに9年の歴史を持つ日産リーフ。2017年には2代目へとバトンタッチし、好き嫌いが分かれたエクステリアデザインは、万人受けするスタイルに変わった。プラットフォームはキャリーオーバーでタイヤまでもが初期型を引き継いでいるが、注目は徐々に伸ばしてきたバッテリー容量および航続距離。初期型は24kW/hで200km(JC08)にすぎなかったが、現行の大容量タイプであるリーフe+は62kW/hにアップしてJC08で570km、WLTCでも458kmにまで伸びている。
空気抵抗を抑えたフォルムは走行中の風切り音も削減。低重心化による走行安定性と相まって静かで快適な走りを実現している。
さらにモーター自体はスタンダートと同じながら最高出力は68ps増の218ps、最大トルクは20Nm増の340Nmまでスープアップ。160kgほど増える車両重量に対しての対応だろうが、旧式プラットフォームでキャパ的に足りるのか? という心配はあった。ところがサーキットで走らせてもリーフe+はいいバランスを保っていた。サスペンションセッティングを慎重に煮詰めたことで、破綻しない低重心なBEVらしい走りを見せるのだ。さらに、これは余談になるが、サーキットの連続走行でのバッテリーの熱上昇という、大抵のBEVが抱える課題を克服していた。じつはとくに冷却に力を入れたわけではなく、バッテリーセルの配置によって熱が上がりづらくなったようだというのだから興味深い。
リチウムイオン電池の容量を62kWhにアップし、モーター出力を218psに高めた新型パワーモジュールは、これまで以上の俊敏な加速と航続距離458km(WLTC)を可能にした。
リーフはさすがに歴史があり、販売実績も世界一のため、クルマとしての完成度が高く、価格、スペック、利便性などでも欧州勢に負けていない。ただ、独自の味わいや雰囲気を持たせるのが上手い欧州勢なので、うかうかはしていられない。いよいよ本格的なBEVの戦いが始まるのだ。