現経営陣は経営不振の責任をとって退任。事業再生ファンドも加わって再建を図る
日本有数のブレーキ関連サプライヤーである曙ブレーキ工業が経営不振に陥っている、というニュースが伝わったのは今年初めのこと。1月末には海外の連結子会社とともに事業再生ADR手続き(産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続き)を開始し、取り引き金融機関に借入金元本の返済の一時停止を要請。5月に公表された2018年度決算(2019年3月期決算)では売上高は8%減の2437億円ながら営業利益が前年度比98%減の2億円、純利益は183億円の赤字となってしまう。
北米での業績不振が大きく影響した結果だが、この経営悪化を受けて8月末には会長兼社長の信元久隆氏をはじめ2人の副社長の退任が発表され、新たに宮地康弘氏がCEOに就任。信元久隆氏は父親の信元安貞氏の後を継ぎ、2代にわたって曙ブレーキのトップを務めてきたが、その流れも途切れることになる。
新社長の宮地氏はボッシュ・ジャパン、日本電産の役員を務めた経歴を持ち、さらにトヨタ、ダイハツの役員を務めてきた新役員も加わり、事業再生ファンドの力も借りて再建を目指すことになる。日本を代表するブレーキ関連サプライヤーとして高い技術力を持つ曙ブレーキだけに、再建に期待したいところだが、トップ交代を含む思い切った経営改革を好感して株価が上昇する場面もあり、先行きは必ずしも暗くない。困難を乗り越えて復活してくれることを期待しよう。