ポルシェ

「ポルシェ・タイカン」エレクトリック4ドアスポーツの全貌が公開された!

電動化へと大きくシフトしつつある自動車市場に、ポルシェが満を持して投入するタイカンの全貌が公開された。自他ともに認める生粋のスポーツカーブランドが放つピュアEVだけに、その成り立ちと走りは誰もが気になるはず。注目のワールドプレミアと、それに先立ち開催されたワークショップから詳細をお届けしよう。

これが電動化に向けたポルシェの回答。800Vシステムを用いた史上初のEV

9月4日、中国福州市平潭の現地時間22時前、ポルシェAG研究開発担当役員のミヒャエル・シュタイナー氏がプレゼンを終えると、壁のように見えていたステージ後方のスクリーンが一瞬にして消え、生温かい風とともに眼前にタイカンが現れた。ステージ奥には暗闇の中、真っ赤にライトアップされた風力発電タワーが無数に見える。それは現実のものなのか、しばらく判断がつかなかった。

特徴的なヘッドライトまわりの形状は、911やカイエン、パナメーラとも違う、新たなポルシェの顔となるもの。縦のスリットは空力&冷却効果を発揮する。

ポルシェはタイカンのワールドプレミアを、欧州、北米、中国の世界3カ所で同時刻に行った。ドイツではベルリン近郊のノイハルデンベルクの太陽光発電所、北米では米国ニューヨーク州とカナダ・オンタリオ州の国境にあるナイアガラの滝近くの水力発電所、そしてアジア地域では、中国・福建省福州市から約150km離れた平潭にある風力発電所がその舞台だった。この島は世界三大風力地帯のひとつに数えられるほど風力資源に恵まれており、現在は世界最大の洋上風力発電設備の開発が進められている。ポルシェにとって主要なマーケットであり、かつ自然エネルギーで電力を賄う象徴的な場所で、というわけだ。

ボンネットより高い峰のあるフェンダー、サイドウインドーグラフィック、そして水平基調で一直線のリアランプなどは992とも共通するデザイン。

タイカンは4ドア、4シーターのサルーンだ。ボディサイズは全長4963mm、全幅1966mm、全高1378mmと、パナメーラよりも全長は短く、全幅は広く、全高は低い。車両重量(DIN)は2305〜2295kg。ディメンジョンは911とパナメーラの間にあたるもので、シートポジションは911に非常に近い。
ボディ構造は冷間や熱間圧延鋼板のスチールが63%、アルミニウム約37%を用いた複合素材を、溶接や接着、リベット、圧入などさまざまな接合技術を組み合わせることで形成している。ボディ下部には、強靭なフレームに覆われたバッテリーが28のスクリューによって結合されている。後席の足元にあたる部分にはバッテリーを収納せず、乗員スペースを広く確保。また、あらゆる角度からの衝突実験が行われ、そのバッテリー内部を衝撃吸収構造とした設計となっている。シミュレーションによる結果、安全性はパナメーラを大きく上回るという。ルーフは全面ガラス構造となっており、100%UVカットや、夏は涼しく、冬は暖かいエコ商品として近年は家庭やオフィスにも使われているLow-Eコーティングガラスなどの5層構造で内装からロールスクリーンを省き、開放感を実現する。

容量93.4kWhのリチウムイオンバッテリーはLG製で、396セルの64.6Ahパウチセル型電池によって構成。

タイカン最大の特徴は、史上初の定格電圧800Vシステムを用いたEVであること。一般的なEVが400Vシステムであるのに対して倍の電圧とすることで、パフォーマンスを安定的に発揮することができ、またケーブル類などを約半分にまで細くすることが可能で、軽量化にも大きく貢献する。
ラインナップはターボとターボSという2モデルを用意。先出のシュタイナー氏になぜEVモデルに内燃エンジン車と同じモデル名をつけたのか尋ねると、「ポルシェにとって象徴的な911がそうであるように、誰もがそのパフォーマンスの高さをイメージしやすいから」という答えだった。

その加速フィールはおそらくワープ感覚!?

パワートレインは、永久磁石シンクロナスモーター(PMSM)を前後軸に1つずつ、計2基搭載。前後モーターの出力を個別に最適制御するフルタイム4WDだ。ポルシェらしいのは、一般的なEVが変速機を持たないのに対して、タイカンはフロントアクスルに1速の、リアアクスルに2速のトランスミッションが備わること。1速は主にスポーツやスポーツプラスモードで、2速はいわゆるオーバードライブモード。ノーマルモード時などは即座に2速へとシフトすることで、俊敏な加速性能と効率性を両立。航続可能距離はWLTPモードでターボは450km、ターボSは412kmとなっている。

モーターはスペース効率に優れかつ継続的に高出力を発揮できるPMSMを採用。

出力はターボが460kW(625ps)、ローンチコントロール使用時には最大600kW(680ps)にまで高まる。最大トルクは850Nm。一方、ターボSの出力は通常時はターボと同様の460kW(625ps)で、ローンチコントロール使用時には最大560kW(761ps)に、最大トルクは1050Nmに到達する。

2速トランスミッションには電子制御式ディファレンシャル(PTV+)を統合する。

0→100km/h加速はターボが3.2秒、ターボSが2.8秒。0→200km/h加速はそれぞれ10.6秒、9.8秒となる。従来のEVでは一発は速くても、連続走行はできないという課題があった。タイカンは0→200km/h加速テストを26回連続で敢行。平均所要時間は10秒以下、一番速いタイムと遅いタイムの差はわずか0.8秒だったという。また、24時間連続走行テストも敢行し、ドライバー交代と充電時にストップする以外は走行を続け、一切のトラブルなく3425kmを走破した。そしてニュルブルクリンクのノルドシュライフェにおいて7分42秒のラップタイムを記録している。

ルーフは5層構造ガラス製。UVカット機能やLow-Eコーティングガラスなどを組み合わせることで、内装のない開放感ある室内を実現している。

気になる充電に関しては、11kWのACチャージングをはじめ、最大270kWのDCチャージングに対応しており、5分(ターボSは5.5分)の充電で100km(WLTPモード)走行が可能。80%までの充電時間はわずか22.5分だ。CHAdeMO(チャデモ)規格にも対応するが、日本にはまだこのレベルの高速充電施設は存在しておらず、ポルシェジャパンはタイカンの国内導入に向けて、2020年半ばよりABB製の急速充電器を全国のポルシェセンターと公共施設への設置を計画。150kWの急速充電は、80%充電を30分以内に済ませる能力を備えるという。

コクピットまわりのデザインは初代911をモチーフとした水平基調な装い。ほぼ全体が大型ディスプレイを中心に構成されており、メーターは湾曲した16.8インチ液晶を採用する。

あらゆる点で注目のタイカン。日本では年内に正式発表、来年には導入開始が予定されている。

パナメーラ由来のシャシーには、電制のPASMをはじめ新たに3チャンバーテクノロジーを採用したアダプティブエアサスペンションを搭載。リアアクスルステアなども備わる。

プロトタイプの同乗試乗では、重心高が低くまさにポルシェのスポーツカーと実感。ESPをオフにすれば大きなアングルを維持しながらのドリフトも自由自在だった。

フロントのエアフラップ、フラットなアンダーパネル、リアスポイラーなどによるCd値は最大0.22。

フォト=ポルシェジャパン/Porsche Japan ル・ボラン2019年11月号より転載

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