豊富な気象データから雲海出現確立を予測
ある意味、雲海との出会いは運次第である。天気図とにらめっこしても、神頼みをしても、狙い通りの雲海とはめったに出会えないからだ。しかし、このウェブサイトの情報はちょっと違う。
この夏、雲海ウォッチャーにとても心強い味方が現れた。三菱自動車が運営する「週末探検家」というウェブサイトである。
これが週末探検家というウェブサイトにある「雲海出現NAVI」のトップ画面。出発地点を入力するところからスタート。
そのホームページを訪ねてみると、まず目にするのはファーストミッションとして掲げられた「雲海の美しさに、言葉を失え。」という嬉しいキャッチフレーズ。続いて「雲海出現NAVI」のページに進むと、キーワードを入力する欄があり、そこに出発地点(自宅でもいいし、行ってみたいエリアでもいい)を入れると、全国20カ所の有名雲海スポットの中から最も近い場所を選び出してくれるのだ。さらにページをスクロールすれば、そのスポットの特徴がわかるし、グーグルマップ上にルート案内も表示される。
何とも便利なウェブサイトであるが、しかし、この「雲海出現NAVI」のすごいところはそれだけではない。筆者が何より驚いたのは、画面の中央にデカデカと表示される数字。その週末(土曜日と日曜日それぞれの早朝4~7時)の雲海出現率を、まるで天気予報の降水確率のようにパーセントで表示してくれるのだ。
これはある週末の「富士宮口五合目」の雲海出現確立。82%なんて数字を見たらだれもが出かけたくなるはず。
筆者も含めて多くの人は、雲海との出会いは運次第と思っているだろう。実際、これまで何度となく雲海狙いの取材をしてきたが、期待通りの撮影ができたのはせいぜい2~3割程度にすぎない。大半は空振りで、むしろ予期せぬ場所で思いがけなく雲海と出会うことの方が多かった。
では、なぜこれほどはっきりとした数字で雲海の出現を予想できるのか? 三菱自動車の説明によると、この「雲海出現NAVI」の雲海出現予測システムはウェザーニューズとのコラボレーションによるもので、それぞれの雲海観測スポットの天候状態、気温、気圧、風向、風力、湿度の予測データをゼンリンの3D地形データとともに表示。人工知能を用いて雲のでき方や形状をシミュレーションすることで、雲海の出現確率を数値化しているのだという。
ウェブサイトではさまざまな情報が満載。出発地点から雲海スポットまでグーグルマップ上でルート案内もしてくれる。
もちろん気まぐれな天気が相手だけに、この雲海出現NAVIに従えば必ずしも雲海に出会えるというわけではない。しかし、今週末はどこへ雲海ウォッチに行こうかで大いに悩んでいる時など、それぞれの雲海スポットで表示される雲海出現確率の数字が大いに参考になることは間違いない。
取材協力:三菱自動車工業
文:佐々木 節/撮影:平島 格