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アナタならどのモデルにする? 500万円台の予算で叶える、ステキなBMWライフ!

現在、実に約150モデル以上もラインアップしているBMW。たとえば500万円の予算があれば、最新の1シリーズをはじめ、2シリーズクーペ/グランクーペ、2シリーズアクティブツアラー/グランツアラー、3シリーズセダン/ツーリング、4シリーズクーペ、X1/X2、Z4、i3と、ファミリーモデルから、SUV、EV、スポーツカーまで、実に多彩なモデル選びが可能となる。今回はその中から6台をピックアップし、それぞれの魅力をお伝えしよう。

かくもバラエティに富んだモデルが勢揃い

最近はクルマの高額化がシレッと、でも確実に進んでいて、自分のような庶民からすれば500万円のクルマなんてたいそう立派な高級車なのに、いまや輸入車の価格からすると平均よりも少し安いくらいかもしれない。いっぽうで、特にドイツ車はニッチ商品の積極導入が常態化していて、500万円台の予算でBMWを探してみると、かくもバラエティに富んだモデルが候補に挙がる。

BMW X2 M35i

個性的な車種が多いBMWのラインアップの中でも、X2はその筆頭に挙がる。低く幅広いスタンスで構えたスタイリングは独特で、他のどれとも似ていないし、1535mmの全高は、都内が主な活動範囲の自分にとって、機械式駐車場でも躊躇なく止められるから嬉しい。その分、キャビンはSUVにしては天地方向にやや制約があるものの、左右方向のゆとりは十分なので、大人ふたりが並んでも窮屈に感じることはない。470L(最大1355L)のラゲッジルームもありがたい。

BMW X2 M35i

トレッドが広く重心も低いので、ハンドリングは申し分ない。個人的には、エンジン横置きのBMWの中ではもっともスッキリした操縦性だと思っている。試乗車は前後の駆動力配分がオンデマンド式の4WDだったこともあり、通常は前輪を駆動して走るものの、後輪への駆動力配分が絶妙で、FFらしいネガティブな挙動もほとんど見られなかった。4輪の接地性も良好だから、安定感が常に感じられるのもX2の特徴のひとつだ。
ベースグレードの「18i」は駆動形式がFFで車重が1500kgだから、1.5L直列3気筒ターボ(140ps/220Nm)でも快活な動力性能が期待できる。これなら乗り出し価格が500万円以下に収まるかもしれない。ディーゼルで4WDの「18d」でも544万円である。

7人乗りも用意されるBMWのMPV

2シリーズで“ツアラー”という名の付くモデルは“アクティブツアラー”と“グランツアラー”があって、両車の大きな違いはホイールベース(と全長)とシートレイアウト(と乗車定員)にある。

BMW 218d xDrive Gran TourerBMW 218d xDrive Gran Tourer/個性的な車種が多いBMW、X2はその筆頭に挙がる

アクティブツアラーはホイールベースが2670mm(全長4375mm)で2列シートの5人乗り、グランツアラーはホイールベースが2780mm(全長4585mm)で3列シートの7人乗り。X2同様に、ツアラー兄弟もまたエンジン横置きのFFで、FFのパッケージのメリットを最大限に活かした室内の広さがこのクルマの何よりのウリである。
確かに室内は広い。天地方向にも左右方向にもゆったりしていて開放感もある。グランツアラーの3列目シートは大人ふたりがそこそこ座れるし、必要ないときにはラゲッジルームのフロアとして完全フラットな状態で収納できるようにもなっている。室内空間だけ見れば、これはもう立派なミニバンだけれど、外からはそう見えない(=生活臭がしない)スタイリングに好感が持てる。

BMW 218d xDrive Gran Tourer/ミニバンなのに、そう見えないスタイリングに好感が持てる

ファミリーユースが主体となることを見込んでか、アクティブ/グランツアラーにはBMWお得意の“Mスポーツ”の設定がなく、代わりに“ラグジュアリー”という仕様が用意されている。Mスポーツは専用のサスペンションに加え、グリップの太いステアリングが標準装備となり、これがどうにも太すぎてしっくりこないのだけれど、久しぶりに細いグリップのステアリングを握って「そうそうこれこれ」と思ってしまった。
エンジンは1.5Lの直列3気筒ガソリンターボと、2Lの直列4気筒ディーゼルターボ、そしてアクティブツアラーのみPHEVが用意されている。乗車人数や荷物が多い使い方をするならディーゼルがいいかもしれない。ランニングコストも抑えられるだろう。

2シリーズクーペはもっともコンパクトなFR

今年8月末に、新型1シリーズが日本にも導入された。これを機に、現行2シリーズクーペはBMWのラインナップの中で大変貴重な存在となった。新型1シリーズがFFの駆動形式へ転換したことにより、2シリーズクーペはもっともコンパクトなFRとなったからである。そうなると次期型は1シリーズに習ってFF可されるかもしれないという懸念が生まれるが、どうやら次期型もFRを踏襲する模様である。

BMW M2 COMPETITION/ピュアなスポーティドライビングが楽しめる1台でもある

BMWはFFでもFRでも4WDでもRRでもミッドシップでも、BMWらしい操縦性の確立に成功しているし、今後電動化がさらに進むとそもそも“駆動形式”なんてものがあまり意味を持たなくなる可能性も否定できない。それでも私たちの身体に染みついたFRの乗り味とそれを味わいたいという欲望に、BMWはしばらくは応えてくれるだろう。何より彼らもまた、基本的にはFRをこよなく愛している人種だからだ。
2シリーズクーペはカブリオレとM2の計3モデルで展開している。今回の企画に該当するのは550万円の“220iクーペMスポーツ”のみだが、車両手配の都合上、やむを得ずM2のお出ましとなってしまった。正直に言えばM2はまったくの別物で、価格も900万円台なのだけれど、2シリーズクーペの素性のよさはあらためて確認できた。
全長4500mm以下、全幅1800mm以下、車重1.5トン以下(220iクーペの場合)という車両スペックは、取り回しの良さだけでなく、FRの操縦性を堪能するには最適な条件であると同時に、最近ではこれを満たすクルマが極端に減ってしまったのも事実である。FRというだけでなく、スペックや成り立ち自体もいまや貴重な存在となって2シリーズクーペは、ピュアなスポーティドライビングが楽しめる1台でもあるのだ。

誰もが一度は欲しくなる、憧れのオープンスポーツ

現行Z4は、実は存続が危ぶまれていたモデルである。2シーターオープンは、憧れの的ではあるものの、実際の販売台数には結びつかないというのが現実で、憧れのまま終わっているという。コストもかかるし設計/生産もそれなりに大変であるにもかかわらず数が出ないのであれば、存続打ち切りの判断もやむを得ないだろう。ところがちょうどその頃に舞い込んできたのがトヨタとの協業、つまりスープラの開発提案だった。トヨタからの打診がなければ現行Z4は生まれていなかったし、トヨタからの打診がZ4の存続打ち切り決定後だったらスープラも生まれていなかったかもしれないのである。

BMW Z4 M40i/一切妥協せず全力で仕立てたBMWのスポーツカー

いったん作ると決めたら一切妥協せず、全力で取り組むのがBMWである。仮想敵をミッドシップのポルシェ・ボクスターとしたことからもそれは窺えるし、可変ギアレシオのスポーツステアリングを全車に標準装備とした判断もそれを裏付ける。従来型よりも全幅を拡大しホイールベースを縮め、ハードトップからソフトトップへ変更することで重心を下げたのは、4輪の接地性と回頭性の向上を狙ったものに他ならない。
運転席に座ると、目の前にドーンとロングノーズのボンネットが見える光景は、それだけで痛快だ。前輪が遠くにあってもその位置と舵角は手に取るようにドライバーに伝わってくる。51:49(前軸重800kg:後軸重770kg)の前後重量配分により、旋回軸がボディのほぼ中央部に位置し、そこを中心にボディが小気味よく向きを変える様はまさしくスポーツカーのそれである。今回の試乗車は340ps/500Nmを発生する6気筒エンジン搭載モデルだったが、4気筒の197ps/320Nmを使い切って走る方が、このクルマの魅力やポテンシャルを余すことなく引き出せると思う。

ラインアップが拡充された3シリーズ

新型3シリーズセダンは今年1月に日本で発表された時点で、320i SE/320iスタンダード/320iMスポーツ/330iMスポーツの4モデルのみだったが、その後、320d/330e/M340iが追加されて計8モデルとなった。価格は461万円(320i SE)から980万円(M340i)と幅広く、今回の企画に該当するのは320iSE/320iスタンダード(533万円)/320iMスポーツ(594万円)/320d(589万円)である。

BMW 320d xDrive Msport/3シリーズはやっぱり素性のいいクルマである。

320dが搭載する1995ccの直列4気筒ディーゼルエンジンは、X2と共にデビューした新世代のユニットで、主に過給機のシステムが刷新されている。以前はシングルターボだったが、低圧用ターボと高圧用ターボを効率的に使い分けるツインターボとなった。これによりエンジン回転数の全域で十分なトルクとレスポンスの向上が図られ、400Nmの最大トルクの発生回転数は1750-2500rpmだが、どの回転域でも力強い加速が得られるし、過給機の存在をほとんど感じないスムーズな吹け上がりが実現した。

BMW 320d xDrive Msport

320dは残念ながらxDriveの4WDしか選べないが、前後の駆動力配分は随時可変し、通常はほぼ後輪のみにトラクションがかかる仕組みなので、4WDであることはそれほど意識しないで済むだろう。むしろ旋回スピードはFRよりも速く安定的とも言える。4WDによる重量増も、ディーゼルの燃費の良さで相殺されると考えられる。
320dは“Mスポーツ”仕様ではないから、タイヤ&ホイールは18インチでMスポーツサスペンションも装着されていない。つまり“素”に近い足周りなのだけれど、素直で気持ちよく曲がるハンドリングは健在。3シリーズはやっぱり素性のいいクルマである。

時代の先を行くBMWのEVモデル

2019年は日本にも本格的に電動化の波が押し寄せた年だった。ジャガーやメルセデスが相次いでBEVの販売を開始して、電気自動車がジワジワとその存在感を高めてきたが、2013年に欧州で2014年には日本での販売に漕ぎ着けたのはBMWである。「i」という新たなブランドを立ち上げてお披露目したのがi3とi8だった。

BMW i3 レンジエクステンダー装備車/500万円台のBMWを選ぶなら筆者はi3に惹かれる

i3はモーターと電池を搭載した単なる電気自動車ではなく、専用のシャシーや内外装デザイン、EVならではのパッケージを採用した革新的モデルでもあった。その先見性があまりにも先を行き過ぎていて時代のほうが追いつけず、当初は販売不振だったらしいがようやくその存在価値が評価される時が来たように思う。
i3の最大の魅力は、電気自動車を運転する悦びがちゃんとあり、その悦びは普通のクルマ(あるいはBMWの一員)の延長線上に乗っかっていて、これまでにない新しさを見た目にも備えているという、なんとも絶妙な塩梅にある。観音開きのボディやリサイクル素材を積極的に使った斬新なインテリアに目を奪われ、ワンペダルの加減速コントロールに驚き、でもハンドリングはまごうかたなきBMWになっている。

BMW i3 レンジエクステンダー装備車

販売不振のもうひとつの理由だった航続距離に関しては、リチウムイオン電池の容量を30%拡大することで対処し、WLTCモードで360km、レンジエクステンダー装備車なら466kmまで走行可能となった。チャデモにも対応しているから、急速充電だと約50分で80%、普通充電では約12時間で満充電となる。これでようやく実用的なレベルとなった。
500万円台のBMWはボディ形状もパワートレインも性格もさまざまで、でも保守と革新の技術や性能がもれなく盛り込まれている。BMWの先進性に魅力を感じる自分はi3に惹かれる。

【Specification】BMW X2 M35i
BMWのXモデルらしいオフロード走行と都会的な存在感を併せ持つコンパクトモデル。室内はスポーティな低重心のドライバーズポジションや広々とした室内空間を実現。試乗車はトップグレードのM35iだが、エントリーモデル(sDrive18i)は448万円となる。

■全長×全幅×全高=4375×1825×1535mm
■ホイールベース=2670mm
■車両重量=1670kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1998cc
■最高出力=306ps(225kW)/5000rpm
■最大トルク=450Nm(45.9kg-m)/1750-4500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/45R19:225/45R19
■車両本体価格(税込)=6,970,000円

 

【Specification】BMW 218d xDrive Gran Tourer
BMW初のコンパクト・マルチ・パーパス・ビークル(MPV)として、スポーティな走行性能と広い室内空間、快適性・安全性を備えたグランツアラー。3列目シートを使用すれば最大7名まで乗車可能となるのがウリ。

■全長×全幅×全高=4585×1800×1640mm
■ホイールベース=2780mm
■車両重量=1690kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1995cc
■最高出力=150ps(110kW)/4000rpm
■最大トルク=330Nm(33.7kg-m)/1750-2750rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=205/55R17:205/55R17
■車両本体価格(税込)=4,710,000円

 

【Specification】BMW M2 COMPETITION
コンパクトなボディにスポーツを意識したデザインと、卓越した俊敏性と優れたハンドリングを生むFRの走りが魅力の2シリーズクーペ。試乗車はトップモデルのM2となってしまったが、対象となる2L直4エンジンを積む220i Mスポーツは550万円となる。

■全長×全幅×全高=4475×1855×1410mm
■ホイールベース=2695mm
■車両重量=1630kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ターボ/2979cc
■最高出力=410ps(302kW)/6250rpm
■最大トルク=550Nm(56.1kg-m)/2350-5230rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=ストラット:5リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=245/35R19:265/35R19
■車両本体価格(税込)=9,180,000円

 

【Specification】BMW Z4 M40i
新型Z4は、縦型ヘッドライトやメッシュ状のキドニーグリルといった新しく特徴的なデザインコンセプトのほか、新世代のエンジンやサスペンションを備えることで高い走行性能を実現。BMWラインアップでもっとも安価なオープンカーは、実は577万円のZ4 sDrive20iだ。

■全長×全幅×全高=4335×1865×1305mm
■ホイールベース=2470mm
■車両重量=1570kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ターボ/2997cc
■最高出力=340ps(250kW)/5000rpm
■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/1600-4500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:5リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=255/35ZR19:275/35ZR19
■車両本体価格(税込)=8,510,000円

 

【Specification】BMW 320d xDrive Msport
スポーツセダンのベンチマーク的存在として世界中の走りを愛する人々を魅了してきた3シリーズ。新世代のデザインコンセプトを採用するほか、AIを活用した音声会話での車両操作、ハンズオフ機能など、最先端の革新的な技術と先進の安全性能を搭載。

■全長×全幅×全高=4715×1825×1440mm
■ホイールベース=2850mm
■車両重量=1680kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ツインターボ/1995cc
■最高出力=190ps(140kW)/4000rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1750-4000rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:5リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/45R18:255/40R18
■車両本体価格(税込)=6,410,000円

 

【Specification】BMW i3 レンジエクステンダー装備車
量産車として初めてCFRPを基本骨格に採用し、徹底的な軽量化に挑戦。新たに120Ahの大容量バッテリーを搭載することで航続距離360km、レンジエクステンダー装着車で最大466kmを実現。純粋なEVのi3は554万円となる。

■全長×全幅×全高=4020×1775×1550mm
■ホイールベース=2570mm
■車両重量=1440kg
■モーター最高出力=170ps(125kW)/5200rpm
■モーター最大トルク=250Nm(25.5kg-m)100-4800rpm
■発電用エンジン種類/排気量=直2DOHC8V/647cc
■最高出力=38ps(28kW)/5000rpm
■最大トルク=56Nm(5.7kg-m)/4500rpm
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=155/70R19:175/60R19
■車両本体価格(税込)=6,030,000円

お問い合わせ
BMWジャパン 0120-269-437

フォト=柏田芳敬/Y.Kashiwada ル・ボラン2020年1月号より転載

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