時代の先を行くBMWのEVモデル
2019年は日本にも本格的に電動化の波が押し寄せた年だった。ジャガーやメルセデスが相次いでBEVの販売を開始して、電気自動車がジワジワとその存在感を高めてきたが、2013年に欧州で2014年には日本での販売に漕ぎ着けたのはBMWである。「i」という新たなブランドを立ち上げてお披露目したのがi3とi8だった。
BMW i3 レンジエクステンダー装備車/500万円台のBMWを選ぶなら筆者はi3に惹かれる
i3はモーターと電池を搭載した単なる電気自動車ではなく、専用のシャシーや内外装デザイン、EVならではのパッケージを採用した革新的モデルでもあった。その先見性があまりにも先を行き過ぎていて時代のほうが追いつけず、当初は販売不振だったらしいがようやくその存在価値が評価される時が来たように思う。
i3の最大の魅力は、電気自動車を運転する悦びがちゃんとあり、その悦びは普通のクルマ(あるいはBMWの一員)の延長線上に乗っかっていて、これまでにない新しさを見た目にも備えているという、なんとも絶妙な塩梅にある。観音開きのボディやリサイクル素材を積極的に使った斬新なインテリアに目を奪われ、ワンペダルの加減速コントロールに驚き、でもハンドリングはまごうかたなきBMWになっている。
BMW i3 レンジエクステンダー装備車
販売不振のもうひとつの理由だった航続距離に関しては、リチウムイオン電池の容量を30%拡大することで対処し、WLTCモードで360km、レンジエクステンダー装備車なら466kmまで走行可能となった。チャデモにも対応しているから、急速充電だと約50分で80%、普通充電では約12時間で満充電となる。これでようやく実用的なレベルとなった。
500万円台のBMWはボディ形状もパワートレインも性格もさまざまで、でも保守と革新の技術や性能がもれなく盛り込まれている。BMWの先進性に魅力を感じる自分はi3に惹かれる。