新しいGLCが一層ベストに近い存在になった
さて、今回の試乗車はGLCがディーゼルの220d、クーペはガソリンの300だったが、その鋭すぎず、さりとて緩くもなくという絶妙な走りのキャラクターは前述の通り。Eクラスから採用が始まった2Lディーゼルは、もはやディーゼルであることを意識させない洗練度が魅力。GLCとの組み合わせでも高い静粛性、振動の少なさが印象的で直接比較しなければガソリン仕様との違いなどわからない。パワーとトルクの発生回転数は2.2Lより高くなったが、扱いやすさにも不満はない。
一方、ガソリン版はトルクこそディーゼルに30Nmおよばないが、パワーで64ps上回るだけに積極的に回す愉しさが見出せる。また、特に振動面でディーゼルに対する優位性も実感できるだけに、都市部の使用比率が高いユーザーなら、あえてディーゼルではなくこちらを選ぶ意味もあるはずだ。
そして、ディーゼルとガソリンを問わずライド感はナチュラルそのもの。妙なピークがないまろやかな乗り心地はメルセデスならではと呼べるもので、快適性は間違いなく最高水準。その一方、操縦性も乗り手の意志に忠実に反応する正確な仕立てなので、特に上屋が軽いクーペではスポーティな振る舞いも苦にならない。
なにをもってベストSUVとするかは乗る人の価値観次第。だが、このクラスの選択肢の中で新しいGLCが一層ベストに近い存在になったことは間違いないだろう。