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米国でも進む衝突被害軽減ブレーキを標準装備

アウディ、ボルボ、メルセデス・ベンツ、テスラが全車に標準装備。IIHSが発表

欧州のユーロNCAP、日本のJNCAPと並んで米国で新型車の安全性をジャッジするIIHS(全米道路安全保険協会)が衝突被害軽減ブレーキ(AEB)の装備状況を公表。2018年9月から2019年8月の12カ月においてメルセデス・ベンツ、アウディ、ボルボ、テスラの4ブランドが米国向け乗用車のほぼ全車がAEBを装備し、フォルクスワーゲン、トヨタ、BMW、ニッサン、ホンダ、マツダ、スバルも8-9割が装備したという調査結果を発表した。
米国で乗用車を販売する20の自動車メーカーは米国運輸省の道路交通安全局(NHTSA)に対し、2022年9月までにAEB装備率100%を達成すると約束しているが、前述の4ブランドは3年前倒しでその約束を果たしたことになり、IIHSもこれを高く評価している。続く7ブランドも達成率が8割に達しており、2017年-2018年の調査では装備率がひとケタだったフォード、ポルシェも急速に装備率を高めている。
一方で米国を代表するゼネラルモーターズ(GM)が29%、FCAが10%、ミツビシが10%にとどまっていると指摘。あくまでも米国向けの車種の装備率なので、日本や欧州向けとは事情が違う部分もあるが、装備の遅れに対してIIHSも厳しい目を向けている。
IIHSによると2018年-2019年の期間に米国で販売されたAEB標準装備車は約900万台におよび、前年比では30%増と大きく増えている。だが年間1700万台が売れる米国市場だけに、あと3年でNHTSAが求める100%に達するかどうかは未知数だ。
ちなみに日本では軽自動車も含めて多くのメーカーがAEB装備を進めたことで、2018年の新車販売台数に占める装備率は8割近くなっており、2019年はさらに高まるものと思われる。
AEBの標準装備化により2025年までに衝突事故が4万2000件減り、追突事故は半減、負傷者も2万人減るとIIHSは推定しており、かなりの社会的損失を防げるとしている。日本とは交通事情の違う米国だが、年間3万人以上が犠牲となっている米国での交通事故があと3年で大幅に減ることになるのか。日々進化するAEBがその役割を果たしてくれることを望みたい。

*パーセントの割合は、2019年12月16日時点で仕様が公開されている自動車メーカーの2020モデルから計算されてるが、自動車メーカーが提供する2020モデルのすべてではない。 ポルシェの2つのモデルと、BMW、起亜自動車、マツダの各1モデルの仕様がありません。†ジャガーランドローバーの車両はいずれも比較条件を満たしていない。

ルボラン2020年3月号より転載
田畑修

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