月刊イタフラ

【嶋田智之の月刊イタフラ】アルピーヌSUVの方向性が見えた!?

いったいなぜこういうコンセプトカーを作った……?

何の前触れもなく、アルピーヌからいきなり“A110スポーツX”というコンセプトモデルが発表されました。見方によってはミッドシップスポーツカーをSUV風味に仕立てたような、ちょっと不思議な雰囲気。高い車高とふたり分のスキーの板を背負ってるあたりから、奇妙な存在感が伝わってきます。が、脳内でスキーの板を外してみると、別の見方が思い浮かびました。かつてのオリジナルA110がグラベルラリーを走っていた頃のイメージが、そこから確かに感じ取れるのです。最初の戸惑いは、一気に“カッコイイじゃん!”へと変わりました。

でも、果たしてコレは何?
資料によれば1973年のモンテで勝ったマシンにインスパイアを受けて製作されたもので、ベースになったのはA110ピュア。車高は60mmアップ、フェンダーは左右ともに40mmずつ拡幅。何も説明はありませんが、見たところでは前後のトレッドも拡大され、フロントの開口部もより冷却を意識した形状に変わり、何やらロールケージのようなものも覗けます。

——あっ! と焦ったのは、現在のアルピーヌには早い段階からSUV計画が噂されてましたが、それは軽くて俊敏に仕立てた超スポーティな4.5人乗りの多目的乗用車であると考えられてました。が、実はそれは違っていて、A110の乗り味やテイストをそのまま活かしてクロスオーバーSUVとした、ふたり乗り多目的スポーツカーだったのでは? と考えたからです。ダートコースや未舗装路にも分け入ってスポーティな走りを楽しめ、アウトドアアクティビティの場にも躊躇なく走っていけるリアルA110。スポーツXは、その是非を世界に問うために披露したコンセプト……?
アルピーヌは今も、そういうベクトルでSUVの開発を真剣に考えているのかも知れません。

ル・ボラン2020年4月号より転載
嶋田智之

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