試乗記

【比較試乗】「ルノー・トゥインゴ vs VW Tクロス vs ミニ3ドア vs フィアット500」300万円の予算で選べる輸入車の魅力に迫る!

10%の税込みでも300万円の予算があれば、最新のTクロスをはじめ、トゥインゴ、シトロエンC3、ミニ、フィアット500など、実に多彩な輸入車が選べる。ここでは4台をピックアップし、それぞれの魅力をお伝えする。

300万円以下にはキャラの立った個性派が

このクエスチョンをテーマにして特集が作れてしまうぐらい顔ぶれが充実してる、といえるのがこのクラス。今回は独仏伊英の代表選手が集まったかたちだが、いずれも日々の暮らしの中でキラリと光るところを見せてくれるところがあるし、キャラの立ったテイストを持つ個性派でもある。それだけに良し悪しで「コレ!」と断定できないところもある。ぶっちゃけ、好みや相性、ライフスタイルから選ぶしかない。そして、自分にピタリと合いさえすればたっぷりと幸せな気分を満喫できる、というのもこのクラスの特徴なのだ。

VOLKSWAGEN T-CROSS TSI 1st PLUS

だからどのクルマもオススメできちゃう、というのが本音なのだが、それでもあえて1台をピックアップするなら、今のタイミングだったら発売なったばかりのフォルクスワーゲンTクロスだろう。
TクロスはVW印のSUVの中でも最もコンパクトなモデル。全長4115mm、全幅1760mm、全高1580mmというサイズは、ポロより55mm長く10mm幅広なだけ。日本の道路上でも扱いやすい大きさといえる部類だ。にも関わらず、車内はひとクラス上のクルマに乗り込んだかのように広々としてる。後席に座ってもゆったり感はあるし、その後席は前後に140mmもスライドさせられる。誰にとっても、どんなライフスタイルであっても、使い方自由自在の万能選手なのだ。肝心の走りも、なかなかのものだ。1Lの直3ターボはポロにプラスすること21psと25Nmの116psと200Nm。7速DSGとのコンビネーションも良好で、必要充分を軽々越えて活発に走ってくれる。昨今の3気筒ととって素直に思わされたぐらい。それにステアリングを切ると、素直に滑らかに曲がってくれる。乗り心地だって悪くない。日常領域では不満らしい不満に出会すことが、まずなさそうなのだ。それがこの“キチンと”感と遊び心が無理なく同居したスタイリッシュなデザインとともにあるのである。バランス感覚の好さとトータルバランス高さでは、間違いなくトップといえる。価格も“素”のモデルなら300万円を切っている。相手のタイプを問わなくとも自信を持ってオススメできる、見事なまでの実力派、なのだ。

RENAULT TWINGO EDC CANVAS TOP

そうはいってもウチの辺りはホントに道が狭いし入り組んでるから……という人に圧倒的にオススメなのが、ルノー・トゥインゴだ。何せ中世サイズの細い路地が迷宮のように入り組んだところがたくさんあるパリの街を、ストレスなしに駆け抜けていくために作られたクルマ。全長3645mm、全幅1650mmという小ささもさることながら、RRレイアウトを採ったことが可能にした驚異的なステアリングの切れ角が抜群に効いている。

最小回転半径は軽自動車並みの4.3m。笑っちゃうくらいに小回りできちゃうのだ。車体が小さいからさすがに広々という言葉は似つかわしくないけど、全長が190mm長いミニより5mm短いだけの2490mmというホイールベースが活きていて、前席も後席もさほど窮屈さは感じない。確かに左右は近いけど、その親密な感じがちょっといいな、なんて思えてしまうのは、シンプルながら目が楽しいインテリアデザインのおかげか。回すと意外に楽しめる0.9L直3ターボも、RRの特性を上手く活かせば望外に気持ちよく曲がれるハンドリングも、実は魅力的だったりする。何だかとっても爽やかなのだ。しかも価格はアンダー200万円から。それも大きな説得力だと思う。

このクラスには見逃せないクルマがたくさん!

最もスポーティなテイストを持つのは? と問われたら、このクラスではミニ・クーパーだろう。

MINI COOPER 3 DOOR

ミニには今や貴重なマニュアルトランスミッション仕様があって、数値以上に力強く感じられる136psに220Nmの1.5L直3ターボを引っ張って、シフトをエンゲージして……と繰り返してるだけで、やたらと楽しいことをしてるような気分になる。加えて、適度+αぐらいにクイックな反応を見せてくれるシャシーのシャッキリ感、だ。

上にはクーパーSやジョン・クーパー・ワークスといったさらに速いモデルもあるけど、日常生活の中でちゃんと使い切れる爽快感を得られるのは、このクーパーまで。ストレスのない走りの楽しさと誰が見てもミニと判るアイコニックな姿がミニの最大の魅力なわけだが、それを最も気負うことなしに満喫できるという点で、僕はクーパー押しだったりする。実用ハッチ7割、スポーツカー3割。そんな当たり前の使い方に最もマッチしていると思う。匙加減、絶妙なのだ。

FIAT500 TWINAIR LOUNGE

一緒にいいて思わず口元が緩む仲間のようなクルマが欲しいなら、間違いなくフィアット500だ。見た目と違ってハンドリングがスポーティで奥深いとか、0.9L 2気筒ターボが実は粘り強いしスピードも結構ついてくるなんて要素ももちろん無視できないけど、そういうことじゃない。10年以上もフルモデルチェンジされてないから見慣れてるはずなのに、いまだに微笑ましいような気持ちにさせらるのは、クルマが全身で笑いかけてくるような、偉ぶったところのどこにもない、希有な存在感によるものだろう。

人は頭を回転させるのも嫌いじゃないけど、根っこの部分ではシンプルに心に訴えかけてくるものに自然と惹かれるところがある。1950年代に生まれた偉大なるチビ車、ヌォーヴァ・チンクエチェントがそうだったように、自然体でニコやかに寄り添ってくれる温もりを、今のチンクエチェントも持っている。しかもつきあってみると、かなり“いいヤツ”なのだ。
他にもこのクラスには、超がつくほどスウィートな乗り心地を誇るシトロエンC3だとか、クラスを越えたしっかり者のフォルクスワーゲン・ポロだとか、見逃せないクルマがたくさんある。どうか思い切り悩んでいただきたい。

【Specification】VOLKSWAGEN T-CROSS TSI 1st PLUS

カジュアルな内外装が特徴のTクロス。クオリティの高さはクラスを超える。試乗車のTクロスTSI 1stプラスは300万円オーバーだが、16インチ仕様のTクロスTSI 1stなら299万円となる。

フォルクスワーゲンのコンパクトカー「ポロ」をベースにしたTクロスは、実用的なパッケージングと、遊び心溢れるデザインやカラーバリエーションの充実が特徴的。

■全長×全幅×全高=4115×1760×1580mm
■ホイールベース=2550mm
■車両重量=1270kg
■エンジン種類/排気量=直3DOHC12V+ターボ/999cc
■最高出力=116ps(85kW)/5000-5500rpm
■最大トルク=200Nm(20.4kg-m)/2000-3500rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トレーリングアーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=215/45R18:215/45R18
■車両本体価格(税込)=3,359,000円
お問い合わせ
フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン 0120-993-199

【Specification】RENAULT TWINGO EDC CANVAS TOP

昨年のマイナーチェンジで前後LEDランプはCシェイプとなったほか、前後バンパーデザインを変更。試乗車はスイッチひとつでルーフを開閉できるキャンバストップモデル。標準車は179万円~。

フロントにエンジンを搭載しないトゥインゴは、軽自動車並みに小回りが利く4.3mという最小回転半径を実現している。市街地での取り回しの良さはピカイチ。

■全長×全幅×全高=3645×1650×1545mm
■ホイールベース=2490mm
■車両重量=1040kg
■エンジン種類/排気量=直3DOHC12V+ターボ/897cc
■最高出力=92ps(68kW)/5500rpm
■最大トルク=135Nm(13.8kg-m)/2500rpm
■トランスミッション=6速DCT
■サスペンション(F:R)=ウイッシュボーン:ド・デオン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ドラム
■タイヤサイズ(F:R)=165/65R15:165/65R15
■車両本体価格(税込)=2,106,000円
お問い合わせ
ルノー・ジャポン 0120-676-365

【Specification】MINI COOPER 3 DOOR

大型メーターやセンタークラスターなどの円をモチーフにしたデザインとクラシカルなドグルスイッチで構成させるインテリア。ミニ・ワンの価格は6速MTが247万、7速DCTが265万円となる。昨年のマイナーチェンジで前後LEDランプはCシェイプとなったほか、前後バンパーデザインを変更。試乗車はスイッチひとつでルーフを開閉できるキャンバストップモデル。標準車は179万円~。

現行型からセンターメーターは廃止され、最新のインフォテイメント、ナビゲーションの各項目が表示可能で、タッチ式の8.8インチ大型ディスプレイを採用。

■全長×全幅×全高=3835×1725×1430mm
■ホイールベース=2495mm
■車両重量=1210kg
■エンジン種類/排気量=直3DOHC12V+ターボ/1498cc
■最高出力=136ps(100kW)/4500rpm
■最大トルク=220Nm(22.4kg-m)/1480-4100rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=175/65R15:175/65R15
■車両本体価格(税込)=3,210,000円
お問い合わせ
BMWジャパン 0120-3298-14

【Specification】FIAT500 TWINAIR LOUNGE

2008年の日本導入以来、その愛くるしさで変わらぬ人気の500シリーズ。2016年に初のマイナーチェンジを受け、エクステリアはよりスタイリッシュに。ソフトトップを備えた500Cも選べる。

500スーパーポップ・ジャポーネは、200台限定で発売。専用装備となるステッカーは、装飾として親しまれている「水引」をモチーフとしている。ベース車より11万円安い、189万円。

■全長×全幅×全高=3570×1625×1515mm
■ホイールベース=2300mm
■車両重量=1040kg
■エンジン種類/排気量=直2DOHC8V+ターボ/875cc
■最高出力=85ps(63kW)/5500rpm
■最大トルク=145Nm(14.8kg-m)/1900rpm
■トランスミッション=5速セミAT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ドラム
■タイヤサイズ(F:R)=185/55R15:185/55R15
■車両本体価格(税込)=2,760,000円
お問い合わせ
FCAジャパン 0120-404-053

 

 

フォト=小林俊樹/T.Kobayashi ルボラン2020年4月号より転載
嶋田智之

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