2019年の国内生産は970万台に届かず。普通乗用車は増加したのだが……
2019年の日本国内の四輪車生産台数は前年比0.5%減の968万4294台と、2016年以来3年ぶりのマイナスとなった。920万台まで落ち込んだ2016年よりは40万台以上増えているものの970万台には届かず、やや厳しい結果となった。
車種別に見ていくと、3ナンバーの普通乗用車は前年比1.2%増の531万7165台とここ10年では最高となり、全体の半分以上を占めているが、5ナンバーの小型乗用車と軽乗用車が減少。この2カテゴリーは10月の消費税増税以降に国内需要が大きく落ち込んでおり、それが生産減にも響いた結果だろう。また、トラックもオリンピック需要に後押しされ生産台数上昇を予想したが、蓋を開けてみれば結果は逆で普通トラック、小型トラックともに減少。
輸出に関しては一時期よりは円安に振れていたこともあり0.01%増の481万8132台とほぼ横ばいをキープ。国内生産のほぼ50%が輸出されていることになるが、そこでも普通乗用車が86%の413万8078台と大半を占めるとともに2018年よりわずかに増えており、国内生産を支えている形だ。
円高など為替変動に耐えるための海外生産増は致しかたないが、国内での雇用を維持するには1000万台の生産が必要と言われてきたことを思うと、970万台以下となってしまったことには若干の懸念もある。自動車メーカーを始め、部品メーカーや販売会社など自動車産業で働く人は550万人とされ、日本経済の中でも存在感は大きい。また、その多くがクルマ購買層と重なっており、国内の自動車販売の増減との関係も深い。
新型コロナウイルスの蔓延により海外生産のリスクが表面化し、それ以前にも気候変動の災害による工場生産停止などもあり、ある程度国内生産シフトを増やすほうがリスクを回避できるという見方もある。今までは労働賃金などが安かった海外生産だがコストも高くなってきているだけに、国内経済の活性化という面でも、国内生産を1000万台レベルまで戻す動きが今後は必要となってくるかもしれない。