コラム

エレガントな造形のその裏地に潜む高剛性「ヒュウガ HP10」【ホムラ コレクション 01】

HOMURA(ホムラ)にとっての新機軸がHYUGA(ヒュウガ)だ。ツインスポークを個性としてラインナップ拡充を続けるホムラとは異なり、性能追及型のすっきりとしたスポークでスポーツホイール路線へと進出した。その第一弾、HYUGA HP10を前に、内包された技術や考え方を紐解く。

既存品とは趣を異にする新たなスポーツ路線

ホムラにとっての第二章が幕を開けたのは2019 年のことだった。「2×5」や「2×7」といった、隣り合うスポークを交わらせてひとつの括りとした既存のラインナップに対して、新たにHYUGA(ヒューガ)が加わった。一般的にはメッシュとも取れる複雑なスポーク構成が有するエレガントな雰囲気を持っていた従来品に比べて、走りを感じさせるシンプルなスタイリングを持っていた。

試作品のゴールドカラーに彩られたHYUGA HP10。装着されたのはドルトのデモカーであるBMW330iだ。サークル形状に窪むセンター部でスポーツムードを高め、またスポークにわずかな折れ目を付けることで抑揚のあるデザインとなった。

例えばこのHP10。既存のクロススポーク路線とは趣を異にする細身の10本スポークを持つ。ホムラとしてスポーツ路線に目を向けた意欲作という。それでもなお、レイズが有する数あるスポーツホイールよりもエレガントな雰囲気を持つのがホムラらしさか。角度によって様々な表情を訴えかけるスポーク部の折れ目や、切削加工により刻まれたロゴの数々など、その手法は随所にみられる。

とはいえ、見た目だけの“スポーティ”なホイールではない。あくまでスポーツホイールとして、強度や剛性、それに伴う軽量化など、徹底した性能追求が貫かれた。最大の技術的トピックは、ホムラにとって初となるRCFスピニングリバース工法が採用されたこと。スピニングによって素材の密度を向上させ、結果として強度向上を図るRCF(レイズ・キャストフローフォーミング)に、リバースリム設計を組み合わせたものだ。タイヤを組み込む際のドロップをインナーリム側に置くことで、インナー側の剛性を高める狙いだという。鋳造品としては作業工程が増え、決して効率的ではないものの「やると決めたら徹底的にこだわる」レイズらしさを感じさせるところだ。シャープでスポーティな造形を支える高性能な裏地がある。

HP10はDセグメントを狙った19、20インチを展開する。ドルトのコンプリートカー(BMW330i)に示されるように、現在は、新色の追加(ゴールド系)を進めている。
それは絶え間なく進化させようとする開発陣の、燃え立つような激しい情熱――、焔(ほむら)を感じさせるような、鮮やかな色味を持っていた。

フォト=宮越孝政/T.Miyakoshi ル・ボラン2020年5月号別冊付録より転載

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