3台それぞれにオンリーワンの主張がある
アウディとしては初となるSUVクーペがQ8。そのアピアランスには近年アウディが模索してきたエッジドデザインの結実が見られ、長らく遠ざかっていたトレンドリーダーへの復活を予感させる。アウディは、低く構えたボディの方が個性を発揮すると思う。どうしてもっと早く、SUVクーペに着手しなかったのだろう?
インテリアの出迎え方もQ8は素晴らしい。センターコンソールをタッチパネル化する手法はイヴォークも同様だが、Q8はメーターからインパネ、センターコンソールにかけてのT字エリアをデジタルパネルとピアノブラック調パネルでブラックアウトし、座り心地のよいレザーシートを交えて、まるで重役室にいるかのような快適さを味わわせてくれる。遊びに行くときまでビジネスを意識させられるのはどうなのか? とは思うけれど……。
エアサスペンションを備えた乗り心地はひと言でいってラグジュアリー。そのトーン&マナーに合わせるかのように、マイルドハイブリッドを備えた3L V6ターボはどこからでも滑らかに加速して、きっちりとトップエンドまで吹き抜けてみせる。
巨体の割に後輪操舵で小回りが効き、カーブでもこのエアリーな乗り心地を維持したままピタリと曲がるのは不思議な感覚。Q7の3列目シートと高いルーフを排し、その余力をスタイリングと動的性能の向上に使った走りは贅沢であり、クーペスタイルのSUVというよりも大きなオールロードクワトロと思えばすべてに納得が行く。
こうして3台の個性派を乗り継ぐと、価格の分だけ質感やインフォテインメントといったインフラの機能に差は出るものの、どれにもオンリーワンの主張があると分かる。イヴォークは若さを、DS7はフランス流のシックなデカダンスを、Q8はエグゼクティブの極みを。どの個性を欲するかで、あなたの選択は変わるのである。