BMW

2020年上半期・最新BMW3シリーズ・バイヤーズガイド「いま選ぶべき3シリーズはどれだ?」

Chapter 02 POWERTRAIN/指向別パワートレイン選び

ガソリン、ディーゼル、PHVと、贅沢なことに3種類のパワートレインの選択肢を持つ3シリーズ。アナタは動力性能、燃費、官能性のどれを重視する?

330i M Sport

超高性能エンジンありきで歴代の3シリーズを開発

1990年、3シリーズの2代目となるE36型がデビューした。当時、Dセグメントのクルマは多くが駆動方式をFRからFFに変更。国際試乗会に参加した際、スポークスマンに 「3シリーズをFFにすることを考えなかったのですか」と聞いてみた。すると、きっぱり「考えませんでした」 と。理由は、単なるFRへのこだわりではなく「超高性能エンジンを搭載する前提がありFFではそれが困難なので」 とのことだった。

まだ、現行のG20型M3は投入されていない。だが、X3Mが積む新世代エンジンが搭載されるはずなので500psを超えることは確実だ。すでに、M340iは3Lの直列6気筒ターボエンジンを搭載し387psを発揮。最大トルクは500Nmに達し、この数値は5代目のE90型M3が積む4LのV型8気筒エンジンの400Nmを大きく超えている。

G20型3シリーズに搭載されるトランスミッションはZF製の8速ATとなる。また、 M系のモデルに搭載される「ステップトロニック・スポーツ・トランスミッション」はパドルシフトが備わるほか、シフトチェンジに要する時間を短縮。

実際に、アクセルを踏み続けると近年の一般的な直噴ターボエンジンとは異なる特性が確かめられる。低中回域のトルクが充実しているのは当然として、高回転域にかけてパワーがすこぶる伸びる。しかも、エンジン音がクォーンからコーンという感じで7000rpmの迫るほどクリアになるので刺激の臨場感が高いのだ。

320i■型式/種類=B48B20A/直列4気筒DOHC16Vガソリン+ターボ■排気量=1998cc■最高出力=184ps(135kW)/5000rpm■最大トルク=300Nm(30.6kg-m)/1350-4000rpm■2L直4エンジンは、最高出力184ps/最大トルク300Nmを発生。ベースエンジン、インジェクションシステム、エンジンマネージメントの最適化で滑らかさと効率の良さを実現。

エンジンの高性能ぶりは、330iが積む2Lの直列4気筒ターボでも実感できる。アクセルを少し踏むだけで、1000rpm台でもメーター内のモニターによると最大トルクの400Nmに迫ってくる。力強さが際限なく溢れ出すかのようで、エンジンが“もっとアクセルを踏み込め”と誘いかけているかのようでもある。

330i■型式/種類=B48B20B/直列4気筒DOHC16Vガソリン+ターボ■排気量=1998cc■最高出力=258ps(190kW)/5000rpm■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1550-4000rpm■BMWのエンジンらしく2Lの直列4気筒ターボでも超パワフルで刺激の度合いが強い。しかも優れた燃費性能を実現し高速道路で走行車線の流れに合わせたところ23.0km/Lを記録。

実際にそうすると、低周波を強調した迫力あるエンジン音とともに吹け上がりの勢いが増し、爆発力の大きさを知らしめる鼓動を刻み始める。そして、高回転域ではそれが連続音に変わる。8速ATをDレンジにしたままでも、メーター内ではオレンジ色の針が6500rpmから始まるレッドゾーンを切り裂き6700rpmでシフトアップ。この間、2速で90km/hあたりなので高速道路の本線合流などでもドラマチックなエンジン特性が楽しめるわけだ。

320d■型式/種類=B47D20B/直列4気筒DOHC16Vディーゼル+ターボ■排気量=1995cc■最高出力=190ps(140kW)/4000rpm■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1750-2500rpm■従来型の320dはシングルターボだったが現行型は低圧用と高圧用のターボを組み合わせ両ターボの過給を排気エネルギーのバイパスに設けたバルブにより連続可変制御する。

320iが積む2Lの直列4気筒ターボエンジンは、いわば330i用の控えめ仕様でありトルクから回転数によりパワーを稼ぎ出す特性もそのままだ。日常的な場面では、いつでも力強さの余裕が得られるだけに満足度が高い。

330e■型式/種類=B48B20B-P251/直列4気筒DOHC16Vガソリン+ターボ+モーター■排気量=1998cc■最高出力=184ps(135kW)/5000rpm■最大トルク=300Nm(30.6kg-m)/1350-4000rpm■モーター最高出力=113ps(83kW)/3170rpm■モーター最大トルク=265Nm(27.0kg-m)/1500rpm■プラグインハイブリッドは外部電源により得た電力を使い果たしてもハイブリッドとしての機能を維持。エンジンによる充電も可能なので場面に応じてモーター走行を実現する。

注目できるのは、330eが積むパワーユニットだ。2Lの直列4気筒ターボにモーターを組み合わせ、外部電源による充電が可能なプラグインハイブリッドだがアクセルを踏み込むと330iに並び刺激的な加速が楽しめる。それでいて、モーターのみによる走行距離は50kmに迫る。

340i■型式/種類=B58B30B/直列6気筒DOHC24Vガソリン+ターボ■排気量=2997cc■最高出力=387ps(285kW)/5800rpm■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/1800-5000rpm■“ M”の称号にふさわしくB系の直列6気筒では最強の387psを発揮。アクセルを踏み続けると一気に吹け上がり、6800rpmでパワーは頭打ちになるが勢いで7000rpmに到達。

320dが積む2Lの直列4気筒ディーゼルターボは、パワーとトルクが320iを超える。低圧用と高圧用のターボを組み合わせるだけに、回転域を問わずアクセルの踏み加減で望むままの力強さを引き出せることが魅力だ。

フォト=郡 大二郎/D.Kori、篠原晃一/K.Shinohara ルボラン2020年7月号より転載
萩原秀輝

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