試乗記

【国内試乗】「BMW M8グランクーペ/クーペ」正真正銘、これが最強の「M」

エンジンサウンドの演出はBMWが得意とするところ

ジェントルな走りでは物足りないと感じたら、エンジン制御をスポーツにすればいい。過剰にならない範囲でアクセル操作に対する応答性が速やかになり、中回転域にかけてトルクが盛り上がる。最大トルクの750Nmを発揮するのは1800rpmからだが、体感的にはそのあたりから加速が勢いづいてくるのだ。

BMW M8クーペ

Mスポーツ・エキゾースト・システムのバルブ制御も連携し、サウンドの輪郭がクッキリしてくる。だが、爆発力の大きさを印象づける鼓動を刻むもののボリュームが増すわけではない。さらに、アクセルを踏み続けると鼓動の密度が増し連続音となる。こうしたドラマチックともいえるサウンドの演出は、Mモデルに限らずBMWが得意とするところだ。

BMW M8クーペ/サーキットでのスポーツ走行を耐えうる設計ながら、フラッグシップクーペらしくレザーやカーボンをふんだんに使用する。

そして、カァーンという感じの高周波サウンドを響かせながらレブリミットの7200rpmに到達。7000rpmでパワーは頭打ちになるが、加速の勢いは持続したままなのでエンジンの吹け上がりにタコメーターの針が追いついていないのかもしれない。

BMW M8クーペ/ラゲッジルーム容量はグランクーペが440L、後席は分割可倒式となる。クーペの容量は420Lと、日常的な使用であれば必要十分。

こうしたエンジン特性は、体感としても伝わってくる。コーナーの立ち上がりでアクセルを踏み込むと、とくにクーペの場合は腰のすぐ後に後輪があるだけに体ごと前に押し出されるようなトラクションを実感しやすい。M8は、前後トルク配分を連続可変制御するMxドライブを組み合わせる。十分なトラクションが得られる場面ではフロントへのトルク配分は最小限となるので、4WDでもFR感覚の走りが楽しめる。

BMW M8クーペ/新型M8で初めて採用されたM専用インテグレーテッド・ブレーキ・システムは、高負荷条件下でも優れた安定性を実現するという。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ルボラン2020年8月号より転載
萩原秀輝

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