新世代ボルボの屋台骨ともいえるミッドサイズSUV、XC60のパワーユニットに同社初となる48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載された。2018年から2025年の間にCO2排出量を40%削減するというボルボにとって、まさに鍵を握るシステムである。
劇的な進化は実感できずも商品力は確実にアップ
2017年6月、「全モデルを電動化する最初のプレミアムブランドになる」と宣言したボルボ。ただし、この電動化=電気自動車(BEV)というわけではなく、駆動力にモーターを活用するクルマという意味で、HEVやPHEVなども当然これに含まれる。そして今後、その軸となりそうなのが48Vマイルドハイブリッドだ。
システムとしては先行したメルセデス・ベンツと同様、ベルトでクランクと直結したISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)により電気を発電。これをリアのリチウムイオンバッテリーに充電して、おもにはエンジン始動や加速時のアシストを行なうというものだ。もちろん回生ブレーキや気筒休止機構にも貢献し、クランク直結ということでリニアでスムーズなレスポンスが期待できる。
とはいえ、B5とネーミングされたXC60を走らせてみて、48Vマイルドハイブリッドがもたらす劇的な「何か」が実感できたかというと、正直にいって「?」だ。
新たに3世代目となったDrive-E、2L 4気筒ターボはスタート時からきわめてスムーズによく回るが、この上質なフィールは従来のT5ですでに経験済みだったような気がするし、シームレスな8速ATの制御も同様。高速道路を下りてようやく実感できたのは、アイドリングストップからのエンジン再始動。ブルッと震えてのひと呼吸がなく、スーッと自然に車速を上げていく。つまり、たとえば坂道発進など高負荷がかかる状況だと、よりその恩恵を実感することになるはずだ。騒音や振動も従来のT5より抑えられている気がするし、厳密なことはいえないが燃費効率も上がっているはず。つまり48V化により失っているものは何もなく、むしろこれまでの美点をよりブラッシュアップしたといえるB5。商品力は確実にアップしている。