BMWはiPhoneをキーに、コンチネンタルもセキュリティ強化で対抗
スマートフォンをクルマのキーとして活用する技術はちょっと前からボルボやボッシュなどが開発を進めてきたが、こうした「デジタルキー」の実用化がここにきて一段と進みそうな気配だ。BMWは米アップルとのコラボレーションにより、ビッグマイナーチェンジを受けた新型5シリーズにiPhoneでドアの施錠・解錠やエンジン始動を行える「CarKey 」を搭載すると発表。このシステムはiPhoneのNFC(近接無線規格)を利用しており、専用アプリをスマホにダウンロードすれば通常のスマートキーと同様の使い方が可能となる。
メッセージアプリを使えば最大5人とデジタルキーを共有でき、また、ボルボなどが導入している速度制限機能、馬力制限機能、オーディオ最大音量の制限なども可能になるという。まずは新型5シリーズで採用するが、追って他の車種でも使えるようになり、もちろんApple CarPlay との連携も可能。今後、世界45カ国で展開していく予定で、利用できるiPhoneはXRおよびXS以降、アップルウォッチ5以降とされており、活用するには最新のiPhoneを用意する必要がある。
また、時期を同じくしてグローバルサプライヤー最大手のコンチネンタルもUWB(超広帯域無線通信)を利用したスマートフォンキーの実用化を発表。いくつかの自動車メーカーでの採用も決まり、2021年には市販車に搭載されるとしている。利用方法やキーの共有といった使い勝手はBMW/iPhoneのものと変わらないが、UWBはキー信号傍受による盗難(リレーアタック)を防ぐことができるメリットがある。セキュリティ面では一歩先を行く形となり、アップルのCarKey も次の段階ではUWBへと移行するものと思われる。
スマートフォンキーがいよいよ現実ものとなりそうだが、逆にスマホを忘れたりするとクルマにも乗れないという事態も出てきそうで、そのあたりはちょっと心配でもある。そう遠くない時期に多くのメーカーが採用し、一気に普及する可能性もあるが、日本メーカーもその輪に加わるのか、今後の動きに注目したい。
今後はスマートフォンによる「デジタルキー」がクルマのキーの主役になるかもしれない。特にウェアラブル商品との連携は今後加速していきそうだ。