The CHRONICLE of IV【1998〜1999年】
新しいゴルフVが登場した今もなお、確固たる存在感と根強い人気を保ち続けるゴルフIV。ここでは1998年の国内デビューから足かけ7年にわたる変遷ぶりを追いかけながらその魅力をあらためて浮き彫りにしてみよう。
1998
4代目のゴルフはCLi、GLi、GTIの
3本立てでスタート
1997年夏、ドイツ本国でデビューしたゴルフIVは、1998年8月から日本市場向けのデリバリーが開始されることになった。このとき用意されたのはCLi(4ドア・4AT)、GLi(4ドア・4AT)、GTI(4ドア・5MT)の3グレード。GTI(4ドア・4AT)とGTX(4ドア・4AT)も同時に発表されたが、デリバリー開始は翌年に持ち越されることになった。また、初代ゴルフは世界中のコンパクトカーのお手本とまでいわれたが、衝突安全性などの確保のためにボディサイズをモデルチェンジのたびに拡大。このゴルフIVではついに全幅が1700mmをオーバーし、ゴルフ史上で初めての3ナンバー車となっている。
Golf CLi《1998年8月》
ゴルフIVが国内デビューしたとき、日本市場向けに最もベーシックなモデルとして用意されていたのはCLiだった。このとき搭載していたのは1780のDOHC5バルブユニットで、最高出力125ps(92kW)/6000rpm、最大トルク17.3kg-m(170Nm)/4200rpmを発揮。発売時の価格は250.0万円(税別)。
Golf GLi《1998年8月》
基本的なスペックはCLiと共通ながら、セミバケットタイプの前席シートやアルミホイールの採用によりスポーティ志向を高めたモデル。細かな部分ではリモコンドアロックやフォグランプ内蔵ヘッドライト、ダークテールレンズも標準装備となり、そんな装備の充実ぶりもあって国内では最量販グレードとなった。発売時の価格は270.0万円(税別)。
Golf GTI(5MT)《19’98年8月》
Iの時代からゴルフのスポーティ&ハイパフォーマンス・イメージを牽引してきたGTI。このゴルフIVでもまず最初に国内投入されたのは5速MT仕様だった。エンジンはゴルフ史上初のターボユニットで、最高出力150ps(110kW) /5700rpm、21.4kg-m(210Nm)/1750rpm。発売時の価格は285.0万円(税別)。
歴代ゴルフの生産台数
ゴルフI(1974〜1983年)、ゴルフII(1983〜1991年)と約9年をめどにフルチェンジの実施されてきたゴルフだが、ゴルフIII(1991〜1997年)からそれを約6年に短縮。コンパクトカーのスタンダードとして世界をリードしてきたゴルフだが、国産モデルなみのモデルサイクルで世界市場の厳しい競争に立ち向かうことになった。
ゴルフI 678万0050台
ゴルフII 630万1000台
ゴルフIII 480万5900台
ゴルフIV 460万台以上(※)
歴代ゴルフのディメンジョン
1974年にデビューした初代ゴルフのボディサイズは、現行のポロより一回り小さいものだった。その後、モデルチェンジのたびにボディは拡大し、全長はゴルフIIIのときに4mをオーバー。ゴルフIVでは全幅が1735mmとなり、5ナンバーサイズを突破している。
全長 | 全幅 | 全高 | ホイールベース | |
ゴルフI | 3815mm | 1610mm | 1410mm | 2400mm |
ゴルフII | 3985mm | 1665mm | 1415mm | 2475mm |
ゴルフIII | 4020mm | 1695mm | 1420mm | 2475mm |
ゴルフIV | 4155mm | 1735mm | 1455mm | 2515mm |
ゴルフV | 4205mm | 1760mm | 1485mm | 2575mm |
1999
あらたに1.6L搭載のEがデビュー
CLi、GLiのエンジンは2.0Lに変更
1999年1月、発売の待たれていたGTIの4速AT仕様とGTXの2モデルがデリバリーを開始。さらに11月には1.6Lユニットを搭載するEもラインナップに加わり、これで日本向けゴルフの基本ラインナップが完成することになった。また、Eのデビューと同時にCLiとGLiはエンジンを変更。このほか、GLiとGTXのみに採用されていたリモコンドアロックとマルチファンクションインジケーターがCLiとGTI にも標準となるなど、細かな装備の充実も図られている。
Golf GTX《1999年1月》
ゴルフIVの最上級モデルとして登場したのがこのGTX。搭載するエンジンはGTIと共通の1.8Lターボユニットで、1999〜2001モデルこそ他のモデルと共通の4速ATが組み合わされていたが、翌年9月発表の2001年モデルからはティプトロニック付5速ATに進化した。内外装の充実ぶりが魅力で、本革仕様のレカロシートのほか、MMSなどを標準装備。
Golf GTI《1999年1月》
GTIの4速AT仕様は5速MT仕様から約半年遅れでデリバリーが開始された。BBS製の16インチ・アルミホイールやレカロ製スポーツシートなど、基本装備は5速MT仕様と共通だったが、ステアリングだけは5速MTの3本スポークに対して、4本スポーク(ともに本革巻き)を採用。発売時の価格は5速MTより9万円高の299.0万円(税抜)。
限定車 Golf MMS Special《1999年4月》
特別限定車の第一弾として登場したのがMMSスペシャル。ベースはCLiとGLiで、これに純正ナビ、AM/FMチューナー、CD/MDコントローラーを一体化した「マルチメディアステーション」を装備。外装では15インチ・アルミホイール“Manbo”が組み合わされていた。価格はCLiベースが282.0万円、GLiベースが302.0万円(税抜)。
エンジン変更 CLi・GLi《1999年8月》
2000年モデル(1999年11月発表)の最大の変更点は、CLiとGLiに2.0Lエンジンが採用されたこと。それまでの1.8L DOHC5バルブユニット(上の写真)に比べると、最高出力こそ劣っていたが、扱いやすい特性やATとのマッチングの良さからマーケットでさらに高い評価を得る。
Golf E《1999年11月》
国内デビューから約1年、シリーズのベーシックモデルとして追加されたのが1.6Lの直4SOHCを搭載するEである。CLiに比べて24万円安い最廉価モデル(発売時の価格は229.0万円・税抜)ながら、デュアルエアバッグ、サイドエアバッグ、EBD付きABSなど、上級グレードに遜色ない安全装備の充実ぶりが魅力だった。
E、GTI(4速AT)、GTXが追加されることによって、日本向けゴルフIVのラインナップはひととおり出そろうことになる。搭載エンジンや装備はグレードごとに細かく異なるものの、サイドエアバッグの全車標準装備など、安全装備はベーシックモデルから上級モデルまで基本的に共通。
【specification】
●ゴルフIV・2000年モデルの主要諸元(2000年モデル・1999年8月発表)
E | CLi | GLi | GTI | GTX | |
東京標準現金価格 | 229.0万円 | 253.0万円 | 270.0万円 | 290.0万円(299.0万円) | 340.0万円 |
全長/全幅/全高 mm |
4155/1735/1455 | ← | ← | ← | ← |
ホイールベース mm | 2515 | ← | ← | ← | ← |
トレッド(前/後) mm | 1515/1495 | ← | ← | 1510/1485 | 1515/1495 |
車両重量 kg | 1250 | 1270 | ← | 1270(1290) | 1290 |
エンジン形式/種類 | AEH/直4SOHC | APK/直4SOHC | ← | AGU/直4DOHC20Vターボ | ← |
内径×行程 mm | 81.0×77.4 | 82.5×92.8 | ← | 81.0×86.4 | ← |
総排気量 cc | 1595 | 1984 | ← | 1780 | ← |
圧縮比 | 10.3 | 10.5 | ← | 9.5 | ← |
最高出力 ps(kW)/rpm | 101(74)/5600 | 116(85)/5200 | ← | 150(110)/5700 | ← |
最大トルク kg-m(Nm)/rpm | 14.8(145)/3800 | 17.3(170)/2400 | ← | 21.4(210)/1750 | ← |
燃料タンク容量 L | 55(プレミアム) | ← | ← | ← | ← |
ミッション形式 | 4AT | ← | ← | 5MT(4AT) | 4AT |
サスペンション形式 前 | ストラット | ← | ← | ← | ← |
後 | トレーリングアーム | ← | ← | トーションビーム付トレーリングアーム | ← |
ブレーキ 前/後 | Vディスク/ディスク | ← | ← | ← | ← |
タイヤ(ホイール) | 195/65R15(6J | ← | ← | 205/55R16(6.5J) | 195/65R15(6J) |
※価格は’99年8月発表時のもので消費税は含まれていません。GTIの()内データは4ATのもの。
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