Lost Wheels – The Nostalgic Beauty of Abandoned Cars
6万キロ以上の捜索旅行の末に完成した、朽ち行く車両だけを集めた稀有な写真作品集。
“放棄された無数のクルマ達が見える。薄暗い森の中であったり塵積もる納屋であったり吹き晒しの平原であったり、その多くは車種を識別できる特徴を辛うじて留めるが、過ごしたであろう途方もない時の洗礼から、腐食した体は色を失い、枯れ葉や苔の堆積と共に、やがてその形すらも失われて行く。”
著者が欧州5カ国と米国39州、6万キロ以上の捜索旅行の末に完成した、朽ち行く車両だけを集めた稀有な写真作品集である本書。オーナーが50歳を機に庭に放棄、自らと共に加齢させた拘りのクルマたちや主亡き後、敬意から停止したまま残されたもの、あえて芸術作品として展示するジャンクヤードなど、本書では朽ちかけたクルマがこれでもかという程多く、持ち主たちのストーリーと共に鮮明に記録されている。
“走って存在感を示すのでなく、動かず朽ち果てて行く姿を愛でるのもクルマとしてアリじゃないか?”は著者の弁。再生可能であれば今や古美術品の如き宝物揃いで、クルマ好きには心穏やかでない所ですが、まずは気持ちを静かにして、本書に拡がる印象的な世界観に挑戦してみては如何だろう。視点を変えたい、今味わうならこの一冊だ。
Lost Wheels – The Nostalgic Beauty of Abandoned Cars
5,929円(税込)
著者など:Dieter Klein(著)
出版社:teNeues
ハードカバー/W308×H242/カラー/208P/英独語併記
お問い合わせ:代官山蔦屋書店