
The CHRONICLE of IV【2002〜2003年】
新しいゴルフVが登場した今もなお、確固たる存在感と根強い人気を保ち続けるゴルフIV。ここでは1998年の国内デビューから足かけ7年にわたる変遷ぶりを追いかけながらその魅力をあらためて浮き彫りにしてみよう。
2002年
ゴルフ史上最強のホットモデルがついにデビュー、キセノン装備の限定車も追加投入
2002年最大のニュースは、何といってもR32のデビューだろう。これはこの年の5月にスペインで開催されたマドリードショーに参考出品されたモデルで、最高出力241psを発揮するV型6気筒ユニットを搭載。III時代のVR6を上回るインパクトでゴルフ・ファンに受け入れられることになった。このほか、ゴルフとしては初めてとなるディスチャージヘッドランプを採用した限定車、XEとExzeptもリリースされている。
限定車 Golf XE《2002年1月》
日本向けのゴルフとしては初めてガスディスチャージ(キセノン)ヘッドランプを採用した特別仕様車。ベース車両はGLiで、ヘッドランプのほか、16インチのアルミ、革巻きのステアリング/ハンドブレーキグリップ/シフトノブ、クルーズコントロールなども装備する。価格は275.0万円(MMS装備車281.5万円、ともに税抜)。
Golf R32《2002年12月》
このR32に搭載するのは排気量3188ccのV型6気筒ユニット。最高出力は241ps(177kW)/6250rpm、最大トルク32.6kg-m(320Nm)/2800〜3200rpmのハイパワーを発揮する。駆動系は6MT+4MOTION(4輪駆動)で、ホイールは前後18インチを採用。ケーニッヒ製レザーシートなど、随所に上質な専用パーツが奢られている。このとき導入されたのは左ハンドルの2ドアモデルで、価格は395.0万円(税抜)。
限定車 Golf Exzept《2002年12月》
このExzept(イクセプト)はGLiのもつスポーティ感にさらなる上質感を加味した特別仕様車。シートヒーター付きのレザースポーツシートを採用したほか、ステアリングなども革巻きタイプに変更。オートエアコン、16インチのアルミ、キセノンヘッドライト&ウォッシャーも装備する。右/左ハンドルを用意。285.0万円(税抜)。
エンジンバリエーション
AEH 1.6L
直4SOHC
1595cc(81.0×77.4mm)
101ps(74kW)/5600rpm
14.8kg-m(145Nm)/3800rpm
Eに搭載されるのはオールアルミ製の1.6Lユニット。VWには珍しいショートストロークエンジンで、最高出力こそ101psと控えめながら、実用的な低速トルクは十分で、しかも、高回転域ではスムーズに吹けあがる。2002年モデルから電子スロットルを採用し、型式はBFQに変更。
AGN 1.8L
直4DOHC20バルブ
1780cc(81.0×86.4mm)
125ps(92kW)/6000rpm
17.3kg-m(170Nm)/4200rpm
1999モデルのCLiとGLiに搭載されていたのは、アウディA3などと共通の直4DOHCユニット。吸気3バルブ&排気2バルブの5バルブ方式で、125psのハイパワーを発揮した。高回転域でのパワフルさが特徴だったが、デビュー1年後にはAPK型にバトンタッチする。
AGU 1.8Lターボ
直4DOHC20バルブ・ターボ
1780cc(81.0×86.4mm)
150ps(110kW)/5700rpm
21.4kg-m(210Nm)/1750rpm
1気筒あたり5バルブのDOHCユニットにターボを組み合わせることで150psのハイパワーを発揮するユニット。ブーストが完全に立ち上がってもトルクが急上昇しないため誰にも扱いやすく、洗練されたフィーリング。2002年モデルからは電子スロットル付のAUM型に進化。
APK 2.0L
直4SOHC
1984cc(82.5×92.8mm)
116ps(85kW)/5200rpm
17.3kg-m(170Nm)/2400rpm
CLi、GLiの2000年モデルから採用された2Lユニット。ゴルフIIIのエンジンをベースに、ヘッドをカウンターフロー方式からクロスフロー方式に変更。低・中速トルクが豊かでATとのマッチングもいい。2002年モデルから電子スロットルを採用(AZJ型)。
トランスミッションの違い
4速AT
E/CLi/GLi/GTI/GTX(〜2000モデル)
ゴルフIVに採用されたのは、オーソドックスなロックアップ機構付きの4速AT。ドライバーの走行特性に合わせてシフトタイミングを変更するDSP(ダイナミック・シフト・プログラム)を採用。
ティプトロニック付5速AT
GTI/GTX(2001モデル〜)
2001モデル(2000年9月発表)以降のGTI、GTXにはティプトロニック付5速ATを採用。シフトレバーをDレンジの位置から右に倒すと、前後方向のレバー操作でマニュアル感覚のシフトチェンジが可能になる。
5速MT
GTI(〜2003モデル)
日本向けにはゴルフIVにはGTIのみに5速MTを設定(R32は6MT)。ケーブル式シフトコントロールの採用でストロークの無駄をなしく、小気味いいシフトフィーリングを実現している。このGTIの5速MT仕様は2003年モデルまでラインナップ。
2003年
熟成を重ねて完成の域に近づきながら
お買い得な限定モデルも続々と登場
新しいゴルフVの登場が近づくなか、日本市場向けのゴルフIVはさらに熟成を重ねクルマとしての完成度を高めていった。この2003年には装備を充実させた3機種の限定車がリリースされ、このうちのLとL Plusの2機種は最終ラインナップモデルとして翌年も販売が継続されていくことになる。そして2003年9月のフランクフルトショーでゴルフVがついにベールを脱ぎ、翌2004年5月には国内デビューも果たすことになる。
限定車 Golf Eins《2003年1月》
フォルクスワーゲンが2002年度の輸入車販売台数ナンバー1となったのを記念してリリースされた特別仕様車。ベースはゴルフEで、リモコンドアロックやマルチファンクションインジケーター、シートヒーターなどの快適装備を追加。外観的にもアルミホイールやボディ同色サイドモールで上級感を演出している。価格は6万円アップの225.0万円(税抜)。
カーテンエアバッグ全車に設定《2003年3月》
ベーシックモデルのEを含む全グレードに、サイドからの衝撃から乗員の側頭部を守るカーテンエアバッグを標準装備。側面から強い衝撃を感知するとAピラーからリアドア上部後端にかけてカーテン状のエアバッグが展開する。これによりモデル末期のゴルフIVの安全性はさらに高められた。
Golf R32(4Door)《2003年4月》
前年末にリリースされたR32の受注が好調だったのを受け、急きょ用意された右ハンドル仕様の4ドアモデル。基本スペックは共通ながら、ボディカラーはブラックマジックパールエフェクトとリフレックスシルバーメタリックの2色にディープブルーパールエフェクトを追加。価格は10万円アップの405.0万円(税抜)
限定車 Golf L《2003年8月》
VWブランドの日本正式輸入50周年を記念して発表された限定モデル。このゴルフL(Lはローマ数字で50を表す)はEをベースとし、アルミホイールやキーレスエントリーなどEinsとほぼ同内容の装備で、価格はEと同じ219.0万円(税抜)。
限定車 Golf L Plus《2003年8月》
このLプラスはGLiをベースとする特別仕様車。キセノンヘッドランプ(ハイトコントロール機能付き)&ライトウォッシャー、クルーズコントロール、革巻き4本ステアリング(マルチファンクション機能付き)などの充実した装備をもちながら、ベース車両より5万円安い265.0万円(税抜)という価格が大きな魅力。
ゴルフIV最終ラインナップ(2004年5月)
モデル名 | 排気量 | 仕様 | 価格 |
Golf L | 1595cc | 4ドア・4AT | 229.95万円(税込) |
Golf L Plus | 1984cc | 4ドア・4AT | 278.25万円(税込) |
Golf L Plus MMS | 1984cc | 4ドア・4AT | 294.0万円(税込) |
Golf GTI | 1780ccターボ | 4ドア・4AT | 313.95万円(税込) |
ゴルフIVの国内販売台数の推移
1999年 21,068台
2000年 18,382台
2001年 15,316台
2002年 14,561台
2003年 12,980台
2004年 6806台
※2004年は1〜7月のデータ。
ゴルフIVのグレード別販売比率(2003年のデータ)
Golf E 13.5%
Golf CLi 14.9%
Golf GLi 15.0%
Golf GTI 10.7%
Golf GTX 2.5%
Golf R32 6.0%
Golf Eins(限定車) 11.6%
Golf L(限定車) 14.4%
Golf L Plus(限定車) 8.5%
Golf XE(限定車) 0.1%
Golf Exzept(限定車) 2.9%
足かけ7年で、国内販売されたゴルフIVは10万台弱。これはルポやポロなど、同じVWの量販モデルが増える中で立派な数字といえるだろう。また、モデル末期の’03年になると限定車の比率がかなり高くなっていることにも気づく。
ゴルフIVユーザーの男女比率
ゴルフIVユーザーの年齢層比率
販売実績をみると、特定の年齢層に偏ることなく、20代から50代まで幅広いユーザー層の支持を受けていることがすぐにわかる。新車購入者のうち女性が占める割合も約4割弱と、輸入車ブランドのなかではかなり高い比率になっている。