ニューモデル

これがデジタル時代の至高! 新型「メルセデス・ベンツSクラス」がデビュー

多機能化されたMBUXや後輪操舵システム、後席用フロントエアバッグの採用など、多角的に進化

9月2日、ダイムラーはフルモデルチェンジを受けた新型「メルセデス・ベンツSクラス」を発表した。新型は1972年に登場した初代から数えて7代目。先代型からは7年ぶりの一新となる。

新型Sクラスでメルセデス・ベンツは「人」に焦点を当てたイノベーションにより、乗員のニーズに共感的に応えるためのデジタル化を促進。運転支援や安全性、インタラクションの分野で多くの革新技術を導入したのが特徴だ。

ボディサイズは全長5179×全幅1954×全高1503mmで、ホイールベースは3106mm。このディメンションは従来型比べて54mm長く、55mm幅広く、10mm高くなった。ホイールベースは 71mmのプラスだ。ロングホイールベース仕様は全長が5289mm、ホイールベースが3216mmとなり、従来型比でそれぞれ34mm、51mm拡大された。

短いフロントオーバーハング、長いホイールベース、そしてバランスのとれたリヤオーバーハングを持つ新型は、クラシックサルーンとしての完璧なプロポーションを実現している。エクステリアデザインは、ボディサイドのキャラクターラインを大幅に減らすなど、メルセデス・ベンツの新世代デザイン哲学「センシュアル・ピュリティ(官能的純粋)」を具現化。LEDのヘッドライトやリヤコンビネーションランプ、埋め込み式のドアノブ(オプション)、洗練性を高めたデザインのホイールといったディテールは、新型のルックスを特徴づける大きな要素となっている。

ボディサイズの拡大にともない、室内空間はさらにゆとりを増しており、肘まわりや頭上空間が前後席で拡大。後席は足元スペースも広がった。トランク容量は従来型比でプラス20Lとなる550Lを確保している。

キャビンで新型を実感させるのがユーザーインターフェイスの進化ぶりだ。対話型インフォテイメントシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」は、ソフトとハードの両面で進化した第2世代版を採用。センターパネルに配置された12.8インチディスプレイを含む最大5つのOLEDディスプレイを搭載。乗員はタッチやスワイプ、自然な手のジェスチャー、そして視線コントロールによって、さまざまな操作が可能となる。

ドライバーディスプレイは3D仕様で「Discreet」、「Sporty」、「Exclusive」、「Classic」の4つの表示スタイルが設定されるほか、3つのモード「Navigation」、「Assistance」、「Service」から選択して個別化することができる。

大型のAR-HUD(拡張現実ヘッドアップディスプレイ)の採用も新しい。運転支援システムやナビゲーションの情報など多くの拡張現実コンテンツが提供され、車両前方の景色に溶け込むように表示されるので、ドライバーはより運転に集中できる。

インテリアデザインは、ヨットのデザインなどからインスピレーションを得たもの。デコレーションパネルにはオープンポアのウッドベニアが採用され、アルミニウムのインレイが組み合わされ、洗練されたインテリアを創出する。

新しいデザイン言語によってデザインされたシートは、人間工学に基づいて再設計された。ヒーター機能やベンチレーション機能のほか、運転席にポジションメモリー機能が備わるのは従来から採用されているが、新型ではドライバーが「MBUX」に自分の身長を伝えると、ステアリングホイールのポジションやドアミラーの角度と合わせて最適なドライビングポジションを自動で調整してくれる。

アンビエントライトは運転支援システムに統合され、乗員に対して視覚的に警告を促すことが可能となった。たとえばアクティブブラインドスポットアシストでは、レッドシグナルによるアニメーションによって衝突が差し迫っていることを警告する。このほか、空調システムを「MBUX」で操作する際、乗員が呼びかけるとアンビエントライトでも応答を示すことも可能だ。

エンジンは、3L直列6気筒ターボのガソリン仕様「M256」とディーゼル仕様「OM656」の2機種が搭載され、それぞれに出力&トルクの異なるふたつのスペックを設定。ガソリン仕様は「S450」と「S500」、ディーゼル仕様は「S350 d」と「S400 d」で、トランスミッションはいずれも9速AT(9Gトロニック)を組み合わせる。駆動方式は4輪駆動の「4MATIC」が基本で、「S350 d」には後輪駆動車も用意する。今後は48Vマイルドハイブリッドを採用したV型8気筒エンジン搭載車も設定され、さらに2021年にはEVモードで約100kmの航続が可能なプラグインハイブリッド車も追加される見通しだ。

走行性能の面では、最大10度の舵角を実現した後輪操舵システム「リヤアクスルステアリング」をオプション設定した点が挙げられる。これにより新型Sクラスの旋回円は最大2m減少し、最小回転半径は標準ホイールベース仕様車の場合4MATIC車で5.35m、後輪駆動車では5.25mを実現(非装備車の場合はそれぞれ6.25m、6.1m)。駐車時などでの取り回し性を高めることが可能だ。一方で車速60km/h以上では前輪と同位相に操舵され、俊敏性や安定感の向上に寄与する。

安全性の向上も革新的といっていい。メルセデス・ベンツの現行ラインアップモデルですでに採用されている各種技術はもちろんのこと、さらに新型Sクラスでは、予防安全技術「PRE-SAFE(プレセーフ)」として「インパルス・サイド」が追加。これはオプション設定となる48Vシステムをベースとしたエアサスペンション「e-アクティブ・ボディ・コントロール」との組み合わせにより、側面衝突の恐れが生じた際、車体を数10分の1秒以内に上昇させ、衝突時の衝撃をできるだけ抵抗力のある下部の構造部に向けさせるもの。これによって乗員は衝突による衝撃を極力低減させることができる。

世界初となる後席左右乗員用の前方エアバッグ「リヤシートエアバッグ」の採用もニュースだ。激しい正面衝突が起きた際は穏やかに展開し、乗員の頭や首への衝撃を大幅に減少させることが可能となる。

このほか、死角検知機能の「ブラインドスポットアシスト」の進化も見逃せない。運転席または助手席のドアを開ける際に、後方からサイクリストなどが接近している場合に警告を発するようになった。

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