コラム

今シーズン初ポイントをゲット!【BMW Team Studie代表兼監督「鈴木BOB康昭」のレーシングダイアリーvol.6 スーパーGT第5戦富士編】

こんにちは。BMW Team StudieのBOB鈴木でございます。

日中の気温がそこそこあっても、風がすっかり秋めいた季節になって参りましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 今回はそんな先週末となる10月3日(土)~4日(日)に、2020AUTOBACS SUPER GTラウンド5「たかのこホテル FUJI GT 300KM RACE」のレポートをお届け致します。
今年のSUPER GTは年間8ラウンドで開催されますので、丁度今回のレースより後半戦に突入した事になります。これまではコロナ禍の影響で無観客レースとなっておりましたが、この富士ラウンドより観客を導入しての通常のレーススタイルに戻されました。とは申しましても、まだ制限付きの条件で、入場者人数や施設内の移動の規制等コロナ対策が解除されたワケではなく、前回もお話致しましたが、1,500人を超える関係者全員事前にPCR検査で陰性を確認しているほど念入りに徹底された中での開催となりました。
我々のマシンであるBMW M6GT3(#7)は前回のツインリンクもてぎ戦でクラッシュによるリタイアであった為に、今回の富士戦直前までその修復に追われていました。中には手持ちのスペアには無いパーツも必要になり、コロナ禍で輸入も大変な時期でしたが、ドイツBMW Motorsport社の協力により、何とか間に合わせる事が出来ました。
まずは3日、土曜日午前からの1時間40分のフリー走行です。ここではマシンのセットアップとタイヤチョイスに時間が割かれます。今年はコロナ禍で遠方のサーキットの開催がなくなり、ここ富士スピードウェイ、鈴鹿サーキット、そしてツインリンクもてぎのみでレースが行われるので、すでに富士スピードウェイは三度目のレースとなりますが、タイヤのコンパウンドや構造がドンドン進化していますので、サスペンションや車体の角度、そしてリアウイングの調整含めたセットアップは毎戦異なる形になります。

ここでは走り始めから非常に好調で、結果クラス30台中トップタイムで終える事が出来ました。続いて3時間20分後に予選開始です。A/B二人のドライバーがQ1、そしてその上位16台のみが進む事が出来るQ2に分かれて搭乗する形式で、今回Q1を担当したのは荒聖治。ゆっくりとニュータイヤを暖めながら徐々にスピードアップさせ、参加30台中3番手のタイムを稼ぎ余裕を持ってQ2進出を決めました。

25分後のQ2に乗る今年SUPER GT初参戦のルーキー、山口智英はまだ世界的に見ても非常に特異なSUPER-GT専用のニュータイヤの使い方に慣れておらず、Q2に進出した上位16台中15番手の順位に留まりましたが、荒とのタイム差は僅か0.7秒でしたので手応え的には悪くない予選となりました。
翌4日(日)曇り空の下、20分間のウォームアップ走行でマシンの再確認を行い、そのピタリ1時間後の午後1時半にレースはスタートを切られました。

スタートドライバーは前戦に続きルーキーの山口智英。もてぎ戦での汚名を晴らす為にも今回は非常に重要なレースとなりましたが、スタート直後僅か2つのコーナーを予選順位通りのポジションで通過した時、先頭を走る他車のクラッシュで早くもセーフティカーが導入されました。

ここでもう一度気持ちを落ち着け、4ラップセーフティカー先導のスロー走行をしてレース再開です。山口は第二集団の後方のポジションを守っていましたが14ラップ目に上位クラスのGT500マシンが一挙に追いつき、追い越される時に同クラスのGT300マシン複数台にもこのタイミングで隙をつかれオーバーテイクされてしまいます。

ルーキーはこれが辛いのです。走行練習やオーバーテイクの練習は他で出来ても、いかにタイムを落とさず上位クラスに抜かれるかはレースでしか経験出来ないので、これはもうレースの出場回数を増やすしかないのです。今回のレースも彼にとっては非常に良い経験の一つになったと思います。

そして、ミニマムの周回数である18ラップ目に荒聖治へドライバーチェンジ。タイヤ交換と給油を終え荒がコースに戻った時には、まだほとんどのチームがピットインしていない事もあり、ほぼ最下位である29位まで順位は下がっていましたが、今回ここからの荒聖治のオーバーテイクショーが凄かった!

BMW M6GT3の美点であるトップスピードの伸びと高速コーナーでの特筆した速さを利用し、毎ラップ面白い様に順位を上げていきます。我々のピットは一番1コーナー寄りでしたので、荒が278km/hの最高速から150メートル看板でフルブレーキングしながらのオーバーテイクは迫力満点で、それが毎周の様に目の前で観る事が出来、非常に興奮しました。

立場的にもレースで興奮する事は滅多にない事なのですけどね(苦笑)フィニッシュまで荒は41ラップを走行しました。流石に最後の10ラップはタイヤのパフォーマンスに限界が来て、守りの走行になってしまいましたが、それでも今期初のシングルポジションである9位でレースを終えました。

勿論、決して満足出来る順位ではありませんが、今期は山口を一流のSUPER GT DRIVERに育成する事もチームとしての大きな目的としているので、彼が今回初めてドライバーズポイント2点を獲得出来た事は、非常に大きな意味を持つレースであったと思います。

次戦は3週間後の鈴鹿戦になりますが、その前に今週末にもう一つのレースシリーズであるSUPER耐久の第二戦が仙台の菅生でありますので、次回のコラムはその模様になると思います。毎回の文末になりますが、モータージャーナリストの先生達とは違い、国語が大嫌いだった素人の読みにくい文章に最後までお付き合い頂き誠に有難うございます。少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

それではまたブーーーーーーン✈

フォト=田村 弥/W.Tamura

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