Q3とXC40は“いいもの感”が漂う
最も走ってるときのシャッキリ感が強くて気持ちよかったのが、アウディのQ3スポーツバックだった。試乗車はガソリンの1.5Lターボを積み、スポーツサスペンションが組まれた35TFSI Sライン。まずはそのエンジンの印象がよかった。レスポンスがよくて爽快なうえ、どこから加速してもしっかりトルクがついてくるから、スポーティで扱いやすい。1.5トンを越えるクルマをターボ付きとはいえ1.5Lで全く不満なく加速させる時代が来たんだな、とあらためて痛感させるぐらいのスピードもある。それにシャシーだ。車体がガッチリしてるおかげで不快感はないが、足周りは硬め。けれど、だから可能になった足腰のキレのよさがキラリと光る。
ステアリングを操作するとヒラリと俊敏に向きを変え、シュパッと気持ちよくコーナーを駆けぬけていくことができるのだ。近頃のSUVはちゃんと曲がってくれるのも当たり前。でも、“ちゃんと曲がる”と“気持ちよく曲がる”がイコールじゃない。このクルマは文句なしに気持ちいい。どうしてもクワトロ完備のモデルの方に目が向いちゃうけど、前輪駆動でもこのテイストにまとめ上げちゃうあたりが、素晴らしくアウディらしい。このスポーティなフィールが、とりわけリア方面から眺めると美しく感じられる特有のクーペスタイルに見事にマッチしてるように感じられる。前輪駆動で516万円というのは安くないけど、価値はあると思う。
最も完成度の高さに唸らされたのは、ボルボXC40だった。通常のモデルは2018年だから最新とはいえないが、最近になって全てに電気モーターが搭載された。今回の試乗車は48Vマイルドハイブリッドシステムを備えるB5。250psと350Nmのガソリンエンジンを13.6psと40NmのISGMモーターがアシストする。縁の下の力持ちのようなそのシステムが、予想以上に効いている。
エンジンの始動・再始動は静かでショックもなし。アクセルを踏んだ瞬間にモーターが反応するから、加速は立ち上がりが極めて素早く気持ちいい。そこからパワーが伸びていく。なかなか楽しい気分になる。B5と呼ばれる仕様はスポーツサスペンションを持つRデザインのみなのだけど、熟成が進んだのか乗り心地の快適さは増し、軽快なハンドリングとコーナーを素早く駆けぬけられる性格はそのまま。589万円と他の3車よりだいぶ高価だけど、まぁ然り、だ。
さて、どれが一番か。……えっ? 順位づけしなくていいの? 先に言ってよー。苦悩しちゃったじゃん。でもこのクラス、本当に1台を選ぶのに難儀する状況なのだよね。幸せと言えば幸せなのだけど。