2020年第3四半期は好調に推移。 中国高級車市場の回復が大きく貢献
ドイツメーカーの業績が回復基調となっている。欧州では新型コロナウイルスが再び猛威をふるい始め、フランスやドイツは11月から1カ月のロックダウン(都市封鎖)を開始。レストランやバーの営業自粛、外出規制などが行われたが、一方で学校や工場などは閉鎖されず、経済への影響を抑える形での実施となっている。そんな中でドイツメーカー3社が2020年1~9月の決算(第3四半期累計決算)を公表したが、ともに1~6月の上半期決算に比べて業績が回復。まだ前年比プラスとはいかないものの、7~9月の業績がかなり回復したことが貢献し、赤字も解消されている。
最大手のフォルクスワーゲン・グループ(VW)は上半期の営業利益が15億ユーロ(約1830億円)近い赤字となっていたが、1~9月累計では約17億ユーロの黒字に転換。前年同期と比べると87.5%減と厳しい数字ながら、回復基調に乗ったと見ていいだろう。ダイムラー・グループも上半期はEBIT(利払い・税引き前利益)が10億ユーロを超える赤字だったが、1~9月は20億ユーロの黒字に転換。前年同期比も49%減と、VWより回復が早いようだ。
ドイツメーカーで唯一、上半期の赤字をまぬがれたBMWグループは、EBITがVWとダイムラーを上回り、前年同期比では半減ながら手堅く業績を向上させている。世界販売台数も2割減近いVWとダイムラーに対し、 BMWは12.5%減に抑えており、純利益も20億ユーロを超えている。
3社の業績向上に貢献したのが巨大マーケットである中国市場の回復で、いち早くコロナ禍から抜け出した中国の需要増が業績を後押しした形だ。また、VWの各ブランドの多くはマイナスから脱していないが、唯一ベントレーだけが前年同期より増えているところも興味深い。ダイムラーはメルセデス・ベンツ乗用車およびバン部門の回復が早く、バン部門は7~9月に限れば前年同期比プラスへと転換している。メルセデス・ベンツ乗用車部門は中国での高級車需要の回復にも支えられており、中国の富裕層に頼っている点はVWと変わらない。
BMWは7~9月に限ればEBITは前年同期比プラスへと転換しており、予想以上のペースで業績を回復している。やはり中国の高級車需要に支えられており、電動化への投資額は膨らみつつも、業績悪化を防いでいる。この調子でいけば2020年通期(1~12月)の好業績も期待できるドイツメーカー3社。いいクリスマスを迎えることができそうだ。