Conclusion
キープコンセプトかニューカテゴリーか
ゴルフプラスなんて、所詮ミニバンの一種じゃないか。最初はこんな風にあなどっていたのを認めよう。ゴルフのシャシーおよびパワートレーンを用いた便利で快適なマルチパーパスカー。確かに便利だろうが、そこにドライブの楽しさや刺激は存在しない、と。
そして、勝手なこの先入観は、見事に覆えされたのである。絶対的な動力性能云々といった話しではない。ゴルフに比べたらデカイ図体ながら異様にガッシリしたボディを、アンダーパワーのエンジンで精一杯走らせる。これが実に楽しく、ありていにいえばドライビング・プレジャーが存在した。それはまるで、ゴルフIやIIのベーシックグレードを振り回した時のような清々しさがあった。
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ゴルフVは、このクラスのベンチマークへとのぼり詰め、必然的に背負い込むものが大きくなった。となると、必然的に保守的なクルマ造りにならざるを得ない。もちろん、クルマとしてのデキは、難癖を付けるのも難しいほどすばらしいものだ。だが、ゴルフIが世に出た時の、常識を覆されたような衝撃はなく、あくまで歴代の正常進化型として造られている。
自身が構築した既存の2ボックス像を継承するゴルフVに対して、ゴルフプラスは新しい2ボックスの概念を構築している。ミニバン並みの高いユーティリティと、ドライブの楽しさが同居しているゴルフプラスは、21世紀におけるゴルフI的な存在なのである。
リポート:中三川大地/フォト:佐藤正巳(Golf GLi/Golf E)/山本佳吾(Golf Plus GLi/Golf Plus E/Golf GT)